50代の老後資産形成と相続
50代は老後資産を形成できる最後のチャンスである。
サラリーマンの場合、老後資産はコツコツと積立投資を継続するしかない。
しかし、50代というのは、相続が発生する年代であり、それによって、ある程度の資金を手にする場合がある。その場合、普段実行している積立投資とは別に、まとまった金額の資産を手にすることになる。
実際、私と大学の同期の友人も、50歳を過ぎて同じ様なタイミングで相続によって、老後資産の原資を手にすることとなった。
積立投資とは別に、1000万円手に入った場合、どういう運用をする?
私と大学の同期の友人が相続によって手にした金額は異なるのだが、仮に、老後資金に回せるお金が1000万円出来たとしよう。
その場合、どういった運用をするのが良いかについて、私と友人は議論することになった。
最もシンプルなのは、積立投資と同じ投資対象に同じ割合で投資をすること
私も友人も、「国際分散、インデックスファンド、積立投資(時間分散)、ほったらかし投資」という、教科書的というか原理主義的な運用を普段はしている。
従って、友人は、「普段の積立と同じものに投資をすればいいだけじゃない?」と言う。
友人の場合は、オルカン(オール・カントリー)一本なので、相続で得たお金は全てオルカンにつぎ込むのが一貫性があるというわけだ。
私もそれで問題無いと思う。
いろいろと考えた上での、投資方針である。相続でお金が入ったところで、投資方針を変更する必要は無く、同じ要領で投資をするというは一貫性があって正しいやり方だと思う。
そうなると、私の場合は、外国株式(オルカン)と外国債券に半々で積立投資をしているので、今回は相続のお金をオルカンと外国債券のインデックスファンドに投資をすればいいということになる。
しかし、ちょっと変化を付けたくなってしまう
ただ、私の場合、ちょっとまとまったお金が入ってきたら、少し変化を付けたくなってしまった。パンとコーヒーの朝食ばかりじゃ面白くないので、たまにはベーコンエッグも付けてみるかというレベルの話である。
もちろん、投資方針を大きく変えるのは編なので、やってみたくなったのはちょっとした変化である。
具体的には、機関投資家の真似をして、少しだけオルタナにも投資をしてみたくなったのである。
個人向けの良いオルタナは無い?
オルタナ、すなわち、オルタナティブ・インベストメントであるが、プライベート・エクイティ、プライベート・デット、ベンチャー・キャピタル、ヘッジファンドといったもので、個人が少額で買えそうなものを探しても良いものが見つからない。
信託銀行の人や証券会社の友人にその手の話をすると、金(金地金)、原油ETF、エマージング株を勧められた。
私は、悪くはないと思ったが、金地金や原油は買うタイミングがイマイチな感じがしたし、エマージング株も何となくしっくりこなかった。
老後資金を形成するのに、このようなモノを選ぶような主観的・感覚的な判断基準は良くないと思っている。しかし、何となく買う気がしなかったのだ。
じゃあ、日本株はどうか?
結局、オルタナ枠として、何に投資をすればいいのかスッキリしないまま、悶々としていたところ、運用会社の友人にこの話をしてみた。
すると、「日本株全く持ってないでしょ?じゃあ、少し、日本株投信でも買ってみたら?」と言われた。
確かに、日本株はオルタナ枠には該当しないが、他にオルタナで良さげな投資対象が無いのであれば、日本人であれば日本株を少し持つのも悪く無いのではないかという気がした。
ただ、この背景としては、将来は円安ではないかという相場観と、直近、日本株投資のみで8億円の資産を形成した「かんち」さんの書籍を読んで感銘を受けたということがあった。
金地金や原油と同様に、日本株も既に高騰していて、買うタイミングは悪いのではないかと言う気もしたが、ただ、インフレ傾向は継続するだろうという相場観の下、インフレヘッジとして日本株を多少は持っておいてもいいだろうという思いもあった。
そこで、結果的には、相続で得たお金は、1/3を外国株式、1/3を外国債券、1/3を日本株に投資をすることとした。
ここで、新たな悩み、一気に買うべきか、積立で買うべきか?
ようやく、相続で得たお金の投資対象は決まった。
しかし、また別の問題に直面した。それは買うタイミング・方法である。
一気にまとめて、外国株式、外国債券、日本株(いずれも投資信託)に投資をしてしまうのと、少しずつ積立投資の様に、時間をかけて投資をしていくのと、どちらがいいかということである。
これについては、山崎元さんの本「お金の増やし方を教えてください!」にズバッと書かれていた。(Chapter 4)
https://bunkyosha.com/books/9784866516707
それによると答えは明確で、「一気に買う」のが正解ということだ。
その理由は、毎月分けて買うとしたら、買い終わるまでの期間、残りのお金を遊ばせることになるからである。それよりも、一気に買って、お金に働いてもらう期間を長くした方が合理的ということである。
私はこの考え方に納得して、一気に、上記3資産に投資をすることとした。
まとめ・感想
50代になると、相続でまとまった資金を入手できる場合がある。
それは、老後資金を形成する上で非常にありがたいお金であるので、普段の積立投資と合わせて有効活用したいものである。
また、最近の東京・首都圏の不動産価格の高騰によって、サラリーマンでも不動産売却によってかなりのお金を手にすることができるケースも散見される。例えば、また別の私の友人は、奥さんのご両親が高齢化したため、家族で郊外の奥さんの実家に引っ越すこととなった。その際に、東京都心に近いマンションを売却したところ、住宅ローンを差し引いても、かなりの売却金額を手にすることができた。そして、そのお金をどう活用するか、今悩んでいるようだ。このテーマについては、別途別の機会に考えてみたい。