定年準備とお金、預貯金と国債だけじゃダメだと思った理由

コロナ前までは順調に貯金を出来ていたと思っていたが…

 私は、サラリーマンとしては、割と順調に貯金をしてきた方だと思う。

何十年も前に参加したFP系のセミナーで、「額面年収の2割を貯蓄に回せたら優秀」というFPのアドバイスが何故か印象に残り、2割には届かないが、コンスタントに額面年収の1618%位は貯金出来ていたと思う。

 40代の頃は、特に老後資金を意識したことはなかったが、2019年に「老後2000万円問題」が話題になった時も、特に気にすることは無かった。 

しかし、コロナ以降の急速なインフレと円安によって、認識が変わった

 私は貯金は割と熱心にやっていた方だと思うが、投資についてはあまり関心が無かった。

持っている金融資産のほとんどは預貯金と個人向け国債だけで、例外的に保有している有価証券も自社株と確定拠出年金のみであり、自ら積極的に株や債券に投資をする意図は全く無かった。

 しかし、コロナ以降、特に2023年にこの認識が大きく変化し、「預貯金と国債だけではマズい」と感じるようになった。

 そのきっかけは、インフレである。

インフレを意識した出来事はいくつもあるが、最初に「おかしい」と思ったのが、高級時計の値上がりである。

 私は特別時計に拘りがあるわけでもないが、今使用している時計が遅れがちになり、そろそろ買い替え時かと考え、コロナ前から物色し始めたと記憶している。

 候補は、カルティエ、IWC、パネライ、ゼニス、ブライトリング、オメガ、ジャガールクルト、フランクミュラー、ショパールといったあたりだが、この価格帯は非常に種類が多い。

そして、迷っているうちに、どんどん値上がりしているのだ。

 例えば、数年前にカルティエ サントスの青文字盤が発売された時は確か税込み86万円で高いなと思った認識があるが、2024年には122万円強に値上がりしている。また、IWCのポルトギーゼ7daysはコロナ後の同時期に120万円位だったと記憶しているが、モデルチェンジ後の2024年には何と200万円近くまで高騰している。

 他に、パネライルミノールクロノグラフとか、ジャガールクルトのマスターコントロールも、ここ数年で2倍とまでは行かないが、1.5倍位になったような気がする。

 もっとも、時計は必需品ではないし、高級品を買ってドヤる年代でもないので、高いと感じれば買わなければ済む話である。

 しかし、生活に密着したモノやサービスの値上がりは避ける訳には行かない。

それを意識した値上がりは、チェーン店の上島珈琲のモーニングである。数年前までは、トーストと黒糖ミルク珈琲のセットが410円位だったと思うが、2024年には690円になってしまった。

 時計や上島珈琲の値上がりは例外的ではなく、他のブランド品もそうだし、食品、外食費用も結構な値上がりをしている。

 そして、この値上がりのトレンドは終息する気配はなく、5年後、10年後を考えると非常に不安である。

 他方、自分のポートフォリオを見てみると、預貯金や国債の利回りはほとんど増えず、インフレによって大幅に実質的価値が目減りしてしまっている。

 私は2024年に入り、この事実に直面し、このままでヤバいと気付いたのである。 

救いは、確定拠出年金の運用成果が良かったこと

 インフレと円安も悪いことばかりではなかった。

それは、確定拠出年金の投資成果が良かったことである。

確定拠出年金は、十数年間に転職を機に始めたものである。確定拠出年金の場合、投資対象を自ら対象ファンドの中から選択するのであるが、私は特に深く考える訳でもなく、単純に外国株式と外国債券を半々で選択することにした。別に、国際分散投資を意識していた訳でもなかった。単に、日本の債券は利回りが非常に低く、また、当時は日本株は盛り上がっていなかったので、投資対象を外国にしただけであった。

 コロナ前までは特に運用成果を意識したこともなかったが、コロナ以降の株高と円安の影響を受け、会社からの支給金額の合計が400万円強に過ぎなかったのが、コロナ以降の数年間であっという間に倍以上になっていた。

 その時、初めて、確定拠出年金以外にも、外国株や外国債券にもっと投資をしておけば良かったと後悔したのである。 

将来は円安になるのではないかという私自身の相場観もあるが…

 以上の様に、コロナ以降のインフレ・円安によって、私の金融資産の大半である預貯金と個人向け国債の実質的価値は大きく目減りした。

 反対に、それほど大きな金額ではないものの、確定拠出年金のパフォーマンスは非常に良好である。

 これらの要因によって、50歳を過ぎた今でも、将来に向けて有価証券投資を始める必要があると痛感し、積立投資を開始することにしたのである。

 もっとも、これには、5年後、10年後には、円が180200円或いはもっと円安になっているではないかという私自身の相場観もある。

 日本の場合は、金利を上げられない事情が有り、他方、インフレ傾向が収まる気配はない。

残念ながら、少子高齢化や日本企業の国際競争力の低下は急には変わらない気がする。

 そして何より、私の年代は子供の頃、というか、大学に入学する位までは、円はずっと200円台だったと記憶している。このため、将来円安が進んで200円を突破するという円安論者の話を聞いても、別に違和感はない。

 こういった理由から、私自身の相場観として、将来は円安が進むと予想しているので、より、外国株式や外国債券に投資を積極的に考えられる。

 そういう訳で、近々、信託銀行で口座を開設して、積立投資を始める予定である。