現在、定年後を見据えて、老後資金を形成するために対応しているところである。
運用方法は、運用を実際に開始する1年以上前から「オルカン(もしくはS&P500)の積立投資」でいいと何となくわかっていたが、実際に運用を開始するまで結構時間がかかってしまった。
結果的には、「オルカンと外国債券の積立投資」をすることになったが、老後資金に向けた積立投資を始めたいと思った時から、実際に開始するまでのプロセスについて振り返ってみたい。
それまでの投資経験
私は50歳を過ぎたので、定年準備の一環として、老後資金のために積立投資を始めようと思い始めた。それまでの投資経験というのはほとんどなく、持っている金融資産の大半は預貯金と個人向け国債であり、それ以外は確定拠出年金(オルカンと外国債券で運用)と自社株が少々というレベルであった。個別株の売買経験は無い。
もっとも、確か十数年以上前と記憶しているが、確定拠出年金に際して、投資に関する講習会を受けたり、自分で勉強したりした。その結果、極めて投資の教科書的な運用方法に染まり、「国際分散、資産分散、銘柄分散、時間分散」で行きたいと考え、オルカンと外国債券のインデックスファンドを選択することとした。
結果的には、それらの選択は悪くなかったようで、途中コロナ期の株価高騰の影響もあり、会社から拠出してもらった合計金額は400~500万円位だが、現時点では確定拠出年金の時価は倍位になっている。
以上のように私は大した投資経験や実績は無いが、確定拠出年金についての小さな成功体験と、長年サラリーマンをやっているくらいなので山っ気があるタイプではない。
このため、老後資金の運用についても、教科書的な国際分散、時間分散型の投資がいいかなと漠然と思っていた。
老後資金のための運用開始に向けてやったこと
50代から老後資金の積立を始めると、定年までそれほど長い期間があるわけではない。
そして、上記の様な確定拠出年金における経験があれば、さっさと同じように運用を開始するのがいいとも考えられる。
しかし、老後資金の運用に際しては、私はいろいろと調べてみたいと思っていた。
具体的には、以下の様な準備を行った。
①投資に関する本を読む
個別株や仮想通貨で一発当てる系ではなく、積立投資でコツコツと資産を増やしていく的なタイプの本をネットで検索し、以下の様な本を読んでみた。(順不同)
- 「難しいことは、わかりませんが、お金の増やし方を教えて下さい」(山崎元、大橋弘祐著)
- 「『老後の資産形成をゼッタイ始める!』と思える本」(野尻哲史著)
- 「となりの億り人 サラリーマンでも『資産1億円』」(大江英樹著)
- 「定年後のお金」(楠木新著)
- 「超高配当株投資入門」(かんち著)
- 「すごい貯蓄」(くらま著)
- 「貯金はこれでつくれます」(節約オタクふゆこ著)
他にもいろいろ読んだが、それなりにお勧めできる本は以上の通りである。
基本的な考え方としては、インデックスファンドで積立投資を行うという路線であり、月々の積立投資額を少しでも増やせるために、正しい「節約」術を身に着けたいということであった。
②友人、知人、金融機関の人に聞いてみた
老後資金の形成に関する基本的な考え方は何となくわかってきた気がしたが、本の中味だけでは不安があり、実践して行くにあたっては、その道に詳しい専門家の話を聞いてみたいと思った。
そこで、銀行、証券会社、運用会社に勤めていて、個人投資家や機関投資家を顧客としている同期や先輩に会って、いろいろと話を聞いてみた。
その結果、どんなプロで過去に実績のある人でも、将来の市場の動きが確実にわかるということは有り得ないので、手堅く行くなら、教科書的な国際分散、資産分散、銘柄分散、時間分散でOKということが確認できた。
そして、それを理解した上で、実際に、メガバンク、信託銀行、証券会社の店頭を訪問し、具体的な商品(インデックスファンドとアクティブファンド両方)について話を聞いてみた。
その結果、住友信託銀行で買えるノーロードで運用報酬等も非常に低い、良さげなインデックスファンドがあることがわかった。
③FP(ファイナンシャル・プランナー)の話を聞く
事前に本を読んで知識や理論をインプットし、業界の専門家に話を聞けば十分な気もする。しかし、私としてはFPに相談をしたいと前から思っていたので、投資に先立って、FPからも話を聞いてみた。
FPにもいろいろなタイプがあり、それまでの経歴によって、生命保険に詳しいタイプ、金融資産の運用に詳しいタイプ、不動産投資に詳しいタイプ、年金制度に詳しいタイプ、税金に詳しいタイプ等があるが、今回は金融資産の運用に詳しいFPの話しが聞けた。
結局、私が思っている以上に教科書的な話が聞けて、「15年、いやそれ以上長い期間を持つことを考えて、(外国)株式のインデックスファンドで運用しましょう」というような内容であった。
私としては、基本的に自分の思っている方向感で誤っていないことが確認でき、満足の行く結果となった。
結局、欲しかったのは「納得感」
実際に老後資金の積立投資をスタートするまで、結構な時間、プロセスを要したのであるが、結局自分が欲しかったのは「納得感」なのではなかったかと気付いた。
というのは、手堅い分散投資とは言え、元本保証ではなく、リスクを伴う運用である。
この点、確定拠出年金は原資を会社が拠出してくれるし、途中で元本割れをしたとしても、受け取れるのは60歳時点であり、受け取れるのはかなり先の話しであった。
他方、老後資金の運用については、自分自身の預貯金や給与からのお金が原資となるので、リスクに対しては、より慎重だったのだろう。
また、老後資金の運用については、私は相続で得たお金とかも投資に振り向けるため、確定拠出年金と比べて、投資の額が大きくなるため、より「納得感」が欲しかったというのもあるだろう。
さらに、投資目的が老後資金というのもポイントである。
老後資金は、普通はある程度年を取ってから準備を始めるので、途中で失敗するとやり直しが効かない。このため、失敗はしたくないという思いが、確定拠出年金をスタートした当時よりも強いので、より「納得感」を求めるために、このような長い道のりを経たのであろう。
老後資金の準備は早めに始めた方がいいが、ある程度リスクを取って、それなりの時間をかけて増やして行きたいお金である。このため、自分自身で調べたり、専門家に相談するなどして、「納得」した上で始めるのが良いかと思う。