老後資金、定年準備の段階でチェックしておきたい基本事項

老後資金について、定年準備の段階で調べておくべき項目は多岐に亘る

 定年準備にあたって、積立投資や節約等についてリサーチをしてきたが、「年金」とか「退職金」とか「医療保険」については、基本的なことでも意外と知らないことが多いことに気がついた。

 そこで、まずは定年準備の初期段階において、定年後の老後資金に関係のある基本事項を広くチェックしておきたいと考え、この本を買って勉強することとした。

https://www.diamond.co.jp/book/9784478118689.html 

以下、自分の備忘録も兼ねて、本書に沿って、気になったところをピックアップしてみた。 

退職金関係

 本書の退職金に関する章において、気になった点は、「割増退職金を受け取る代わりに、早期退職をしてもよいか」の判断基準だ。

 これは、58歳以上になると、割増退職金と早期退職に伴う年収減との比較計算をすることは容易だが、特に50代前半くらいの早めの段階だと悩ましいものである。

本書のケーススタディでは、53歳の銀行員が、「年収の2年分の上乗せ」という優遇条件がついて退職金は4千万円。そして、銀行員の肩書を活かして、スタートアップ企業の顧問の仕事で年収800万円を得ることができたという設定である。

 しかし、早期退職後、すぐにスタートアップ企業の経営が傾き、職を失うことになり、いざ転職活動をしようとしても年齢がネックで苦戦して後悔するという、よくあるパターンである。

 このケースにおいては、明確な正解というものは無く、将来必要なお金を想定して、いくつかシミュレーションをやってみた上で慎重に判断をするというものである。

 私の感覚では、55歳より早く割増退職金付の早期退職の話に乗ると、上手く行かないことが多いと思うが、会社に残った場合も、その後に大幅な年収ダウンもあり得るので、そのあたりの判断は難しい。

 それから、この章では、退職金を一時金として受け取るのと、年金型として受け取るのとどちらがいいかというケーススタディもある。

 私は、こちらもケースバイケースかと思っていたが、こちらは基本解があり、税金を考えると、一時金で受け取る方が税法上有利なことが多いようだ。私の場合は、年金型で受け取る退職金制度は無いので、悩む必要は無いが、税金のことを知らないと損をするかも知れないので、この点は要注意であろう。 

年金について

 年金については、別のブログ記事でも書いたが、ここはサラリーマンが知っておくことが多い分野である。

 まずは、年金は申請主義で、自ら申請しないと年金はもらえないという大原則を把握しておく必要がある。

 そして、今まではスルーしてきたかも知れない「ねんきん定期便」も50歳を過ぎると要チェックであろう。記入漏れや期間が無いかチェックし、自分が受け取れるであろう年金額を把握した上で、老後のファイナンシャル・プランの参考にすべきである。

 そして、需給のタイミングについても基本事項は勉強しておいた方がいいだろう。

迷えば、多くの人と同じように65歳を選択すればいいのだが、人によっていろいろな事情があるだろうから、繰上げ受給と繰下げ受給の、それぞれの長所・短所をチェックしておくべきだろう。 

定年後の働き方

 ここは、失業手当とか、細々とした各種税制が説明されている。

大企業の場合、60歳で一旦正社員は定年となり、その後の5年間は再雇用という制度が多いかと思われるが、年金の受給時期が基本的に65歳であることを考えると、たとえ不満は多くても一応再雇用の話しには乗った方がいい気がする。

 もちろん、やりたい仕事があったり、転職に自信がある場合には、再雇用に乗る必要は必ずしも無いが、そういう人は少数であると思われる。60歳を過ぎると転職による年収維持やアップは非常に難しいと考えた方がいい。

 また、定年後にいきなり個人事業者になろうとしても、よほどしっかりとした準備をしていないと、痛い目に会うリスクがある。

 正社員をリタイアした後は、自分の好きな仕事をするというのは理想的ではあるが、それを成功させるためには、50代のうちから、副業で実験的に始めてみるなど、慎重な対応をすべきであろう。 

「独立」と税制上のメリットについて

 サラリーマンが定年後に、個人事業主になってバリバリ稼ごうという人はかなりの少数派だと思われる。しかし、本書の著者の板倉京さんの本業は税理士なので、個人事業主の優遇税制に関する記載が結構厚い。

 「青色申告」、「経費と領収書」、「小規模企業共済」など、サラリーマンをやっていると無縁の話しが結構紹介されている。

 私は定年後に個人事業主になるにしても、オフィス、従業員、在庫、借入等は一切無しの、リスクは最小限にしたネット起業しか考えていないが、生きて働けるうちに「経費」というものを使ってみたいと思う。もちろん、売上があってこその「経費」なので、まずは売上が立つような定年後のビジネスを運営できるようになるのは簡単ではないと思っている。 

定年後の「住居」の話

 首都経済中で、そこそこの立地に持ち家を持っているサラリーマンの場合、

いざとなると、マイホームを売却して、地方移住をすると、かなりお金の面では余裕が生まれると思う。

 しかし、地方移住は馴染めるかどうかやってみないとわからない面もあるし、ずっと都会暮らしが長い人は、最初は良くてもそのうち地方暮らしに飽きるリスクもある。

 従って、100万円単位で住宅補助費用が出る自治体もあるようだが、そこの判断は慎重にした方がいいだろう。

 本書のこの章で参考になったのは、リバースモーゲージの話しである。

リバースモーゲージとは、自宅を担保にお金を金融機関から借り入れ、亡くなった場合にはマイホームを売却して一括返済するという制度である。

 ただ、このリバースモーゲージは利息が高く、思ったほどの借入ができなかったり、あまりお得な制度では無さそうだ。だから、この言葉は割と耳にするが、実際にやっている人の話は知らないのは、このためかも知れない。

 また、定年後も住宅ローンの返済が残るサラリーマンは、退職金を使って、住宅ローンを全部或いは一部返済すべきか悩む人もいるだろう。この点については重要なので、各自がシミュレーションをして、もっとも有利と思われる方法を選択すべきであろう。 

高額医療費制度と医療保険

 ここは生命保険の見直し時において、重要なチェックポイントとなる項目の様である。

この点については、難しそうなので、別途生命保険に詳しいFPに相談するなどして、後日検討したいと思っている。 

相続関係

 相続については、相続人とも話し合った方がいいかも知れない。

しかし、50代のサラリーマンの場合、よほどの資産かでも無いと、この段階で相続のことが気になるだろうか?

 ただ、あるFPによると、相続は生命保険の数少ない活躍の場であるらしいので、こちらも医療保険と合わせて後日、検討したい。

 

以上のように、定年後のお金については、勉強すべき項目が結構あるので、少しずつチェックして対応をしていきたいものである。