YouTubeで、「50代早期退職、激しく後悔」のサムネ
YouTubeで定年後の生活の動画を物色していると、「50代早期退職、激しく後悔」とのサムネが目に入った。他にも、50代のサラリーマンと早期退職をテーマにした動画がいくつも見られた。
単純に、65歳という年金の受給開始年齢とか、退職金、それ以前に目先の生活費のことを考えると、サラリーマンが50代のうちに退職するのは勇気がいる。
私としては、よほどの事情が無い限り、50代の早期退職どころか、気が進まなくても再雇用制度に乗っかって65歳まではサラリーマンを続けるのが現実的では無いかと思っている。
そこで、50代のうちに早期退職しようと決断する事情や、その場合のお金の問題について、考えてみることとした。
完全に仕事を辞めてしまうケース
サラリーマンが50代で会社を辞めるのは、他にどうしてもやりたい仕事があるようなケースかと思われる。
しかし、中には、仕事が本当に嫌になったり、今まで長く働いて来て心身共に疲れ果て、働きたくないから早期退職を考えるケースもあるだろう。
ただ、その場合は、退職金や年金の目減りは当然として、会社を辞めた後の生活費をどうするかが問題となる。
働きたくないという理由で退職するのであるから、当然労働収入はゼロということになる。その場合は、有価証券や不動産からの資産収益に依拠することになるのだろうが、生活費全てを賄うためには、結構な資産額が必要となる。
例えば、独身で生活費が月に20万円必要としよう。そして、FIREの試算でよく用いられる「想定利回り4%」を使うと、20万円×12か月÷4%=6000万円の資産が必要となる。
早期退職だと退職金は満額出ないので、それまでかなり熱心に貯蓄をしてきていない限り、
これだけの金額を50代で保有しているケースは例外的であろう。
もっとも、一旦退職することによって、心身ともにリフレッシュ出来れば、再び仕事を始めることも出来るだろうから、とりあえず退職するというのは可能なのだろう。
他の仕事を始めるケース
健康上の理由以外で、サラリーマンが50代で早期退職を考えるのは、他にやりたい仕事があるケースが多いと思う。
テレビ朝日の「人生の楽園」の様に地方移住で農業を始めるとか、どうしてもやってみたかった起業をするとか、職人を目指すとか、いろいろなパターンがあるだろう。
この場合も、退職金が満額受け取れないとか、年金の受給額が少なくなるといった金銭的なデメリットはあるが、ただ、どうしても自分がやりたい仕事に就くわけなので、そのあたりは承知の上だろう。
ただ、問題があるとすれば、事前の調査や準備が不十分なケースである。
会社を辞めて就きたかった仕事を始めてみたものの、思うように売上が立たないとか、聞いていたよりも仕事がキツイといった理由で、後悔するような場合である。
サラリーマンをやっている間に並行して、やりたい仕事を副業の様な形でテストすることが出来れば良いのだろう。農業であれば、週末に農地を借りてやってみるとか、飲食業をやる場合にはバイト等で手伝わせてもらうことが望ましい。50代で会社を辞めてしまうと、そこからサラリーマンに復活するのは非常に難しい。
私の場合、将来は「ひとり起業」ということで、ネットビジネスを展開することを考えているが、ネットビジネスであればサラリーマンのうちに、とりあえずブログやSNSのPVやフォロワーを増やしておくことが可能である。このため、いきなり会社を50代のうちに辞めて、「ひとり起業」を始めようとは思っていない。もっとも、この私の様な考えでは成功できないという考えもある。「退路を断つ」覚悟が無いと、本気で新しい仕事に向き合えないという意見である。実際、ある著名ブロガーは、ブログ収入(アフィリエイトとGoogleアドセンス)が7~8万円しかない時に、思い切って会社を辞めてブログに集中したそうだ。
だから、収入が減っても構わないし、成功できる自信がある場合には、「見切り発車」的な辞め方でもいいかも知れない。ただ、私はそういうリスクは取りたくないということだ。
気になるのは、役職定年等を契機に、中小企業に転職するケース
これは、早期退職をして仕事を辞める、或いは、他の仕事に就くというのとは異なるが、実行するかどうかは別にして、悩んでいる人は結構多そうである。
サラリーマンは55歳とか57歳になると、「役職定年」になり、肩書が削られ、年収も2~3割削られる。そうなると、ここから先は出世の可能性は無いし、責任感のある仕事もしなくていいと言われるような形となり、働くモチベーションは失われがちである。
そうであれば、今の会社で働き続ける場合と比較して、大幅な年収減になるとしても、「やりがい」とか「自分の力を発揮できる場所」を求めて、中小企業に転職を考えるサラリーマンもいるだろう。
50代、とくに「役職定年」の年齢になると、大手企業への転職は非常に厳しい。
転職エージェントに登録しても、まずレジュメがほとんど通らないし、面接まで辿り着けたとしても、内定に至る可能性は低い。
また、大手企業への転職に限らず、現実的には、「ベンチャー企業」への転職も同様に厳しい。ベンチャー企業は経営者及び社員が非常に若く、「役職定年」を迎えた50代の人とは一緒に働きたいと思ってくれないことが多い。
そうなると、転職の選択肢としては、伝統的な中小企業が多く、その場合の年収は大幅ダウンとなることが多い。もっとも、「役職」「肩書」については、それなりのものを用意してもらえることは可能だし(お金が掛からないから)、任せてもらえる仕事も増えそうである。
ただ、私が興味があるのは、大企業で役職定年を迎え、モチベーションが下がり、働き甲斐を求めて中小企業に転職したサラリーマンが本当に満足しているか否かである。
私の周りには、この種の転職をした人がいないので、実際のところはよくわからない。
確かに、「肩書」とか「仕事」については与えられるのだろうが、長年大企業でしか働いたことがないサラリーマンが、中小企業でも自分の力を発揮できるかどうかは保証の限りではない。大企業の場合は、仕事が細分されているし、部下や予算もそれなりにある。また、業種が違えば、使えるスキルも限定されるし、カルチャー的に新しい環境に馴染めるかどうかもわからない。
従って、役職定年を機に中小企業に活路を見出すという選択は、気持ちはわからないでも無いが、慎重に考えた方がいいだろう。
ただ、お試しで働かせてもらうということは難しそうなので、事前のチェックで出来ることは限られるかも知れないが。
いずれにせよ、50代のうちの早期退職は、後悔することが無いように、お金の問題を含め、納得の行くまで調べてみた上で慎重な判断をすべきであろう。