定年準備中の50代サラリーマンがFIREについて、いろいろ考えてみた

FIRERERetire Earlyなので、そもそも50代で定年準備中の私にとっては、関係の無い話である。しかし、FIREに憧れる若者は一定数いるようで、それ系のYouTubeの動画がいろいろと上がってくる。その中で気になった動画をいくつか見てみると、FIREには不十分に見える金融資産からの限られた金融収益で、非常に少ない生活費で地味目な暮らしを楽しんでいるという印象を受けた。

 決して多くは無い収入であるが、十分すぎるほどある自由な時間を楽しんで生きる、というライフスタイルは定年後の生活にも通じるものがある。

このため、私は少額系FIREの動画に関心を持っているのである。 

1000万円でFIRE

 この手の動画の中には、「1000万円でFIRE」といった刺激的なサムネのものも見受けられた。動画をいくつか見てみると、月に78万円と非常に少ない生活費で暮らしているのだが、78%で運用するのは非常に難しいので、そのあたりの生活費の捻出法については謎である。

 ただ、こういった生活は、30代独身男性だから可能なのであって、既婚の定年退職者にとってはあまり参考にならない。

 それから、これは自炊のスキル次第であるのだが、自炊が得意でないFIRE実践者は、スーパー等の廉売品が食事になっているようだが、私には流石に無理に感じられた。 

余計なお世話ながら、ギリギリの少額FIREを目指す若者の課題について考えてみた

 まあ、私も含め、50代の定年準備中のサラリーマンや、既に定年退職した人にとっては関係無い話であるが、余計なお世話ながら、この手の少額FIREを目指す若者の課題が気になった。

 私は昭和の世代であるが、「収入は低くても、嫌なことはしないで、静かに暮らす」という生き方自体は悪いと思わない。ただ、数千万円くらいでのギリギリFIRE生活に到達できても、それがこの先何十年と維持できるのかが気になった。

 生活費が78万円といっても、社会保険からは逃れられないし、住居費(更新料や引越代)とか耐久消費財の買い替え費用等の臨時出費を考えると、平均月収20万円、年収ベースで240万円は必要では無いか?そうすると、利回り4%を想定すると、元手は6000万円も必要ということになる。嫌な仕事をしたくないからFIREを目指すはずなのに、これだと、FIREのために嫌な仕事であってもお金を貯められる仕事に長年従事しなければならず、本末転倒である。

 また、仮に6000万円を貯めることが出来ても、その後のインフレ、資産価値の下落といった場合に、生活が維持できるかという不安はある。

 もちろん、いざという時にはバイトでもすればいいのだが、バイトで稼がないといけない金額が増えれば増えるほど、中途半端なFIRE生活になっていく。

 結局、働くこと自体が絶対嫌だということでなければ、将来、少額でも自分のペースで稼げる仕事を習得するために自己投資も並行して行った方がいい気がするがどうなのだろうか?(その意味で、FIRE生活をYouTubeで紹介している人達は、自分のペースで稼げる収益源を作ろうとしているのかも知れない)。 

そもそも、余裕のある暮らしが可能なFIREってあり得るのか?

 FIRE=地味な生活というイメージもあるが、そもそも、余裕のあるFIRE生活を送るというのは可能なのかが気になった。

 余裕のある暮らしの定義は人によって様々だろうが、仮に、年収1000万円と想定しよう。

そうすると、手取りは約720万円程度か?

 その場合、4%の運用利回りを想定すると、必要な元本額は、何と18千万円となる。

しかし、金融収益にも約20%の税金がかかるので、手取りで720万円となると、22500万円の元手が必要となる。

 こうなると、億り人どころの話ではない。

それに、自力で2億円以上も貯めれる人となると、相当、能力も気力も高い人なので、むしろFIREなんてのんびりした暮らしは退屈で、一生働ける限り働きたいのかも知れない。

 そういうわけで、本当にゆとりのあるFIRE資金を貯めれるような人は、FIREには憧れず、他方、地味な暮らしでもいいので何とかFIREをしたいという人は、なかなかその資金さえも簡単に貯められないのかも知れない。 

年金生活と言うのは、ある意味、FIRE的な生活と言えなくもない

 話は飛ぶが、ふと思ったのは、年金生活はFIREと似ているかも知れないということだ。

もちろん、60歳の正社員としての定年、さらに、再雇用まで目一杯働いたサラリーマンにとっては、Retire Earlyの真逆である。

 しかし、定期的にそこそこ生活できる程度の収入が得られる年金を受給できるというのは、FIREFI、即ち、Financial Independenceはあると言えるだろう。

 大企業のサラリーマンの場合、企業年金も含めると、月収30万円位になることはある。

それに、相続や退職金、更には定年準備として積み立ててきた貯蓄があると、そこからの金融収益も期待できる。

 もちろん、ネットを使ったひとり起業とか、アルバイトによる収入があると、さらに余裕は生まれる。

 年金と金融収益、その他の収入と合わせて月に50万円あれば、それなりの余裕のある暮らしは出来るのではないだろうか?

 しかも、ストレスの貯まる仕事とか、人間関係とかに悩む必要は一切ない。

嫌なことはやらなくていいし、やりたいことだけやればいいのである。

嫌なことはやらなくていい上に、カツカツの必要最小限の暮らしではなく、そこそこゆとりのある生活もできる。これは、非常に恵まれた状態では無いだろうか?

 企業年金も含め、年金が月収30万円と言うことは、利回り4%と仮定すると、9000万円相当の金融資産を持っているのと同じような状況ということである。

 この有難みを十分に認識し、本当にやりたい趣味・娯楽を見つけたり、やりたい仕事をやったり、定年後の生活を充実させるために、50代のうちから、いろいろと準備をして行きたいものである。