定年準備と老後資金、「5年で1億貯めた」について考えてみる

「無理に決まっている」と思いつつも、やはり気になる「5年で1億貯めた」系のお話

 私は50代になったサラリーマンなので、定年後を意識して、コツコツと老後資金を積立投資中心に形成している身である。

 年収が急に増えたり、或いは、個別銘柄投資で大当たりを実現することは、自分にとっては関係無い話と頭ではわかっているのだが、ネットで「5年で1億貯めた」系の見出しを見ると、思わず反応してしまうのである。

 そこで、過度に楽観的な話や怪しい投資系の話に揺さぶられることなく、淡々と今のペースで心穏やかに積立投資に専念できるようにするため、今回は、想定運用利回りが5%(年間)を前提に、どうしたら「5年で1億貯められるか」について考えてみたい。

 なお、「5年で1億」の可能性はゼロということを証明したい訳ではない。

中には、相場で勝ちまくれる人もいたり、年収1億超を達成出来たりすれば可能であろうが、ここでは高給の人も含め、50代サラリーマンにとっての「再現性」を重視して考えていきたい。 

金融庁の「つみたてシミュレーター」を使って試算してみる

 さて、このブログでたびたび登場している金融庁の「つみたてシミュレーター」を使ってみる。

https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/tsumitate-simulator/ 

5年間で運用利回り5%(年)だと月々の積立はいくら必要?

 ウェブ系コンテンツで「5年で1億」という話は、元手は少額だったが相場で一山も二山も大当てしたケースがほとんどで、(数字は示されていなかったが)もの凄い運用利回りになっていたはずである。

 しかし、そんなに相場で当てまるくということは、再現性に欠くので、通常積立投資で想定可能な運用利回りの範囲で、現実的に考えたい。

 そこで、目標金額1億、期間5年、想定利回り5%とすると、

月々の積立金額は、1,470,457となる。年間の積立金額は約1765万である。

もっとも、年収が5千万だと手取りが27002800位なので、それだと可能性は無くもない。 

②年収1500万のサラリーマンが額面年収の2割(300万)を積立投資に振り向けたとすると、どれくらいの運用利回りであれば、5年で1億になるか?

 次は視点を変えてみて、現実的にあり得る(高給)サラリーマンの場合、どれくらいの運用利回りであれば「5年で1億」が可能なのかシミュレーションをしてみる。

 まず、年収は1500万のサラリーマンを想定してみる。

大手金融機関、大手マスコミ、総合商社等のサラリーマンであれば、これくらいはあるだろう。大手メーカーだと部長クラス?であろうか?

 そして、FP(ファイナンシャル・プランナー)的には、額面年収の2割を貯蓄に回せることができると優秀とされるので、額面年収1500万の2割=300万を積立投資に充てるとしよう。月々の積立投資金額は25万である。

 これを上の金融庁のシミュレーターからは直接資産は出来ないので、「将来いくらになる」の画面から、ちまちまと試算を繰り返してみる。

毎月の積立金額25万、積立期間5年を固定して、想定利回り(年率)を動かして行くと、 

  • 想定利回り10% 1,936万
  • 想定利回り30% 3,400万
  • 想定利回り50% 6,348万
  • 想定利回り60% 8,840万
  • 想定利回り63.8% 10,052万

やっていて空しくなったが、想定利回りが63.8%あれば5年で1億達成ということになる。

運用利回り63.8%が5年も続くということは有り得ないので、これは無理と考えた方が良さそうだ。 

③それでは、サラリーマンが老後資金「1億」に拘るなら、どれくらいの長期間をかけて積立投資を行えばいいのか?

 5年で1億」は無理と確認した後は、それでも「1億」、「億り人」に拘りたいとサラリーマンが強く希望した場合は、どれくらいの期間をかけることを想定すればいいのかについて考えたい。

 ここでは上記の金融庁の「つみたてシミュレーター」の一番右、「何年間積み立てる?」の画面をつかって試算しよう。

 想定運用利回り(年)は5%とした場合、月々の積立金額を10万とすると、

3211か月と出た。

 さすがに32年間は新入社員から始めたとして、50代になる。

しかし、「老後資金」と考えれば、余裕で定年前に達成できるわけなので、ここに積立投資の凄さを感じることができる。

 それでも、もう少し早く「1億」を貯めたいのであれば、月々の積立金額を増やす必要がある。そこで、月10万を15万に増やすとどうなるか?上記シミュレーターを使うと、

268か月と出た。これだと、40代で達成である。

 さらに、月20万まで増やすと、どうなるか?

227か月と出た。あれ?、積立額は15万から20万に3割以上増やしたのに、期間は268か月から227か月と、そこまで短縮された感じがしない。

 結局、ここが積立投資の複利効果のポイントで、期間が長くなればなるほど効いてくるのだ。

こうやってみると、月々10万を積立て、3211か月で達成というのが、割がいい感じがするが、どうだろうか?サラリーマンの場合、ボーナスも原資にしていいので、月々10万円なら十分可能性はあるだろう。 

まとめ:サラリーマンの資産形成は焦らず、いかに長期間粘れるかが重要

 結論としては、面白くも何とも無いが、サラリーマンが資産形成をするには、如何に短期間を全力疾走できるかではなく、如何に長期間積立投資を継続できるかが重要ということである。サラリーマンの場合、収入は安定しているし、ボーナスも原資に出来るので、長期投資に向いている。

 そういうわけで「5年で1億」のような話には惹かれるが、気にせず、50代から積立投資を始めても、長く続けることを目指す他ないということである。 

オチ(蛇足)

 最後にしようもないオチであるが、実は「5年で1億」は誰でも達成可能かも知れない。

というのは、今回のブログ記事では「円」と書いていない。

従って、通貨がウォンであれば約0.1円(20254月時点)なので、月14.7万円を積立てれば可能となる。

 さらに、VND(ベトナム・ドン)であれば、0.0055円(2025428日時点)であるので、非常に簡単である。

 なんでこんなことを書くかと言うと、私自身がYouTubeの動画(ショート)で、見事にこのオチに引っ掛かり、面白いと思ったからだ。

「資産5億の男の生活」というようなサムネに惹かれ、閲覧すると、非常に地味な生活をしていて、私は「資産形成は節約がやはりカギか?」と真剣に考え始めていると、最後に通貨がVNDだったという話。

 まあ、これはどうでもいい話なので、サラリーマンは気長に粘り強く長く積立投資を頑張りましょう。