老後資金と定年準備、年収1千万円以上なのに「貯金ゼロ」の家庭の特徴とは?

老後資金を貯め始めるのは、50代が多いと思うが、その場合、出世や転職による収入アップは期待しにくい。このため、如何に「節約」して資金を捻出できるかが老後資金形成のカギとなる。 

FPから聞いた、「年収1千万円」でも「貯金ゼロ」の人がいるという驚愕の事実

 老後資金の形成に向けて、いろいろとFPや金融機関に相談したり、本やウェブから情報収集をしているのだが、その過程で、衝撃を受けたことがある。

 あるFPによると、「年収1千万円」以上でも、「貯金ゼロ」の人が結構いるというのだ。

確かに、このサイトを見ると、少し前の統計ではあるが、年収1000万円以上~1200万円以下の世帯の10.3%が、年収1200万円以上の世帯でも5.1%が「貯金ゼロ」(金融資産非保有)というのだ。

https://money-bu-jpx.com/news/article026690/ 

資産を蓄積する上で重要なのは、「収入」ではなく「収支」であるとよく聞くが、その通り、如何に「支出」を上手くコントロールできるか、「節約」が重要ということなのである。 

年収「1千万円」以上でも「貯金ゼロ」の家庭の原因

 年収「1千万円」以上あるのに、「貯金ゼロ」となってしまうのは、どこに原因があるのか気になるところである。

 上のサイトによると、一般的な理由が3つ示されている。

  1. 税金や社保が高く、手取りは見掛けほど多くはない
  2. 児童手当等の補助が受けられないか、減額される
  3. マイホームにお金を掛け過ぎ

 

しかし、1.と2.は他の「年収1千万円」以上の世帯も同じ条件である。

その中で、年収1000万~1200万円の世帯の50%以上は、きっちりと「金融資産1千万円」以上を保有しているわけなので、これは本質的な原因とは言えないだろう。

 その点、3.のマイホームにお金を掛け過ぎというのは、何となく理解できる。

もっとも、コロナ以降、都市部を中心に住宅価格は高騰してきているので、これはある程度仕方が無い点もある。 

「年収1千万円」という自信と周囲の評価に対する過剰反応?

 上のサイトの記事も参考に、もう一歩、考えてみると、「年収1千万円」なのに「貯金ゼロ」に陥ってしまうのは、「年収1千万円」に対する自信と周囲の評価に過剰反応してしまって、それが消費行動に反映されているのではないかと思料される。

 例えば、上記サイトで示されている様に、自分は「年収1千万円」なんだという自覚の下、

良い食材、良い食器、良い家具、良い日用品(高級なティッシュ等)といった具合に、

全てにおいて相対的に高いものを選択してしまう。

 そうなると、「年収1千万円」といっても、収入に対する支出が多くなり過ぎ、貯金が出来ないという事態に陥ってしまうのだ。

 年収800900万円と、年収1000万円とでは、飛躍的に手取りが増えるわけではないが、

「年収1千万円」の壁を突破すると、自信や周囲の評価はガラッと変わってしまうのだろう。

 もちろん、「年収1千万円」という自信を持てることは嬉しいことだし、周囲の評価も高くなるというのは悪いことではない。

 しかし、お金の使いかたについては、調子に乗り過ぎることなく、冷静に対応すべきということだろうか? 

「年収1千万円でも貯金ゼロ」からの示唆は、「メリハリ」「優先順位」を意識した支出を心掛けること

 このように考えると、「年収1千万円でも貯金ゼロ」のケースからの示唆は、「メリハリ」「優先順位」を意識した上での支出が重要ということだろう。

 「年収1千万円」になったからと言って、マイホーム、車、家具、外食、子供の教育費等、全てを一気に良いものにしてしまうと、お金は足りない。

 そうではなく、マイホームだけとか、子供の教育費だけとか、優先順位を決めて優先支出分野を絞り込んで、それ以外の支出は抑制することが必要である。

 家具、食材、食器、日用品等、全てにおいて拘りがあるという人はそれほど多くは無いだろう。何となく全て良いものにすることは避けて、本当に自分自身が重視するものから充足させていくべきである。

 そうすると、とりあえず自分が重視する項目についてはある程度充足されるので、それほどストレスは溜まらないのではないかと思われる。

 50代のサラリーマンが老後資金捻出のために「節約」を遂行するに当たっては、まず、自分や家庭の優先順位をしっかり考えて、本当に欲しいものはケチケチしない反面、特に拘りが無いものについてはバッサリと切るメリハリが、ストレスを貯めずにお金を貯めるコツなのではないかと思われる。