2025年のパナソニックのリストラとは
サラリーマンの間で、パナソニックのリストラが話題になっている。
2025年7月に発表されたパナソニックのリストラとは、1万人(全グループ社員の約5%)、年齢40歳から59歳(64歳以下の再雇用の社員も)が対象となり、多ければ数千万円が退職金に上乗せされるという。
今回は「再雇用」の社員も対象になるというのが、私にとっては驚きであった。
また、以下の東洋経済の記事を見ると、部門間格差があるというのが特徴である。
この記事によると、家電や空調部門等が焦点になるようだが、収益性や戦略的意義の大きい、自動車向け部品、電池、IT系等の部門はあまり対象とならないようだ。
そもそも入社時には部門別採用ではなく一括採用だったし、途中で自分の行きたい収益部門に異動できる自由度は低いことを考えると、何となく不公平に感じるのは私だけだろうか?
https://toyokeizai.net/articles/-/877666
それから、私が「パナソニックのリストラ」と聞いて気になったのは、過去にもやっていたのではないかということだ。ググって見ると、リーマンショック後の2011年に大規模のリストラを実施しており、また、2021年にもリストラをやっているようだ。
今回の特徴は「黒字」下のリストラであって、経営的に非常事態と言えない状況での実施なだけに、サラリーマンにとって嫌な話である。
黒字であっても、ライバル企業との比較の上で収益性や効率性の面で劣位すると、株主からのプレッシャーから、経営陣はリストラを行う可能性は、他の業種においてもあり得る話であろう。
そう考えると、これは決して他人事ではなく、例え今は安泰であったとしても、サラリーマンは将来的な危機に備えて何らかの手を打っておく必要があるのではないかと私は感じた。
50代のサラリーマンの、定年後まで踏まえた対処法
①出来れば会社に残れるのが理想だが…
現在、20代のサラリーマンであれば、「終身雇用は当てにならない」との前提の下、転職人生を想定した対策が出来るかも知れない。
しかし、私の様な50代サラリーマンは、一般的に今からキャリアチェンジをするのは無理だし、仮にスキルがあったとしても、50代であればよほどのスキルや営業基盤でも有していないと転職は無理だろう。
どうしても転職するとなると、現時点での年収水準にもよるが、大企業の管理職で年収1千万以上もらっていたら、半額の500万円でも見つかるかどうかわからない。さらに、65歳までの再雇用が実質的に保証されるのかということも考えると、安易に数千万円の割増退職金に飛びつくべきではないだろう。
仮に、現状の年収が1千万円の55歳の管理職が、転職によって年収が500万円になったとする。そうすると、60歳までの5年間で年収の差は2500万円になる。そして、再雇用制度とか退職金、企業年金等を踏まえると、退職金の割増額が3千万円だとしても、果たして得かどうかはわからない。
また、これがサラリーマンにとって大事なのだが、会社名、肩書、慣れ親しんできた職場や仕事という、非経済的な事情とか、居場所を失うことになるのは辛い。
とは言え、事実上、自分が退職推奨をされているような状況であれば、居座り続けることも難しい。
そこで、十分社内リサーチを行い、残っても何とかなりそうであれば、会社に残る方が良い気もするが、それは状況次第だろう。
②支出の見直し
結局、諸般の事情を考慮し、割増退職金をもらって退職することになった場合、いろいろな対処をすることが必要となろう。
収入の維持とか増加を図ることは難しいので、その場合は、如何に支出をコントロールしていくかが重要であろう。
最初に資産状況のチェック
支出のコントロールを考える前に、まず、やっておくべきなのは、資産状況のチェックである。同じ年収の同じ年代のサラリーマンでも、資産状況には大きな違いがあるため、それによって、定年後まで踏まえたライフプランも大きく違って来るのである。
例えば、住宅が持家か賃貸か、それぞれの場合、ローン残債や賃料はどの程度か、また、実家に戻るといった選択肢があるか等で、定年後の生活費は大きな差が出る。
また、皮算用になるかも知れないが、相続可能な資産によって定年後の生活状況は違ってくるし、今までの貯金額によっても、今後どのような生活が出来るかは大きく異なる。
本当は50歳時点で、定年後に向けて、自分自身の資産状況を把握した上で、老後資金を形成し始めたいところであるが、まだであれば、この機に、ローンの状況、相続可能資産、退職金等をチェックしておく必要があろう。
ファイナンシャル・プランを練る
ファイナンシャル・プラン、即ち、家計の見直しを始める前に、調べておくべきことがある。
それは、自分のもらえる年金予定額を「ねんきん定期便」等で調べることである。加えて、企業年金の金額等もチェックしておきたい。
これらによって、定年後の収入を把握しておかないと、家計の見直し、「節約」のモチベーションが沸かないからである。
「節約」は、ある程度は我慢を強いられることになるので、節約の「目的」、即ち、節約によって得られるメリットを明確化しておくことが大切である。今、ある程度の我慢をする代わりに、将来、こういった良いことがあると意識できると、やる気が違って来るからである。
なお、具体的な節約方法と老後資金の準備については、こちらの過去記事をご参照下さい。
https://retirefphb.com/archives/64
ファイナンシャル・プランを自分自身で作るのは難しいと感じた場合、金融機関に相談するという手もある。ただ、その場合には、変な金融商品を買わされないように注意しなければならない。
中立的な立場から、ファイナンシャル・プランを作って欲しいのであれば、有料で独立系FPに相談するという手もある。
有料で相談するのが嫌であれば、どれだけ中立的と言えるかどうかはわからないが、高島屋とかカード会社のサービスを利用するという選択肢もある。
私の体験談については、こちらの過去記事をご参照下さい。
https://retirefphb.com/archives/20
いずれにせよ、この機に抜本的な家計、ファイナンシャル・プランの見直しをやっておきたいところである。
副業・アルバイトの考察
50代になると、転職とか、昇格によって収入を増やすことは難しいが、副業・アルバイトによって収入を得ることは、また別である。
アフィリエイト,コンテンツ販売等のネットによる副収入を得るには、ある程度のスキルや時間もかかるが、興味がある人は挑戦してみてもいいだろう。
ブログやSNSでなくとも、メルカリを頑張って月数万円程度稼ぐというのでもいいし、自分にあったアルバイトを模索するというのでもいい。
再雇用や完全な定年後において、月数万円でも収入を得ることができるとかなり違って来るし、新たな居場所や遣り甲斐につながるので、家計の見直しとも並行して模索してみるのはお勧めだ。
「終身雇用」の前提が崩れると、サラリーマンの人生設計も大きく変わる?
現在50代のサラリーマン層は、「終身雇用」を前提とした社会で生きてきた。
大企業のサラリーマンが、現在と同じかそれ以上の企業に転職するのは、例え、20代や30代であっても簡単ではない。
「ジョブ型雇用」という言葉が使われ始めても、まだまだ人材の流動性は低く、特に、年齢が高くなるに連れ転職は難しくなる。
今の若い人達が「転職」を前提にキャリアプランを構築するのは結構なことかも知れないが、退職金制度、企業年金制度はどうなるのか?また、NISAやイデコのようなインフラを利用して、資産形成を行う金融リテラシーは備わっているか等、いろいろ対処しなければならない課題はある。
20代の頃は、モチベも高く、体力もあるので、50代から先のことなど考えないだろうが、彼らもいずれ50代になり、定年を迎える。果たして、30年後にはどうなっているのか気になるところである。