サラリーマンがお金を貯めるには、通常、時間がかかる
サラリーマンが老後資金を貯めるには、アップサイドが見込めないので、短期間で一気に貯めることは難しい。
しかし、サラリーマンの場合は、収入が安定しているという強みがあるので、それ程大きな金額でなくとも、コツコツと細く長く貯めることが向いている。
ただ、サラリーマンは収入が安定しても、支出が嵩みがちな年代がある。
その原因となるのは、子供の教育費である場合が多く、特に複数の子供が私立に通う期間は結構大変で、なかなか老後資金等を貯める余裕がなかったりする。
その点、私の大学の先輩も56歳まで子供の教育費の支払いが大変だったので、老後資金を貯める余裕はなかったようだが、56歳から5年間で老後資金1千万円を貯めることを目標に積立投資を開始した。そして、そこから1年以上経過したが、順調に進捗しているという。
56歳から5年間でどうやって老後資金1千万円を貯めるのか?
十分な運用期間を持てないからと言って、その先輩は投機的な方法で勝負するというようなことはやらない。5年間という短期間でも積立投資というオーソドックスな方法を採用しているという。
先輩は1千万円を貯めるために必要な諸条件をシミュレーターを使って算出した。
期間は5年。そして、想定運用利回りは5%。本当は6~7%をしようかと思ったが、そこは楽観的に考えないようにしたという。そうすると、月々に積立が必要な金額は約14万7千円となる。
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/tsumitate-simulator/
月14万7千円ということは、年間だと176万4千円となる。
結構大変な数字に見えるが、先輩は大手メーカーの管理職で推定年収は1200万円ほどある。
ある程度理想的な年収に対する貯蓄の比率は2割と言われているので、1200万円だと240万円。すると、月14万7千円で年間合計176万4千円というのは、それほど無理ではない数字であることがうかがえる。
とは言え、手取りから毎月14万7千円を積立投資に振り向けるのは、かなり厳しい。
そこで、先輩はボーナスを併用することとし、月10万円を積立投資用に捻出し、1回あたりのボーナスから30万円を積立投資の原資にしたという。
既に生保の見直しや携帯代金といった節約方法は実践済みということだったので、浮いた教育費関連の支出を積立投資に回すだけなので、それほど難しくなかったという。
5年間で老後資金1千万円を達成できても、複利の恩恵はそれほど高く無いのでは?
毎月14万7千円を年あたり5%の運用利回りで回せた場合、5年後に1千万円が貯まるが、
そのうち運用収益部分は118万円である。もしこれがタンス預金であれば、882万円にしかならないことを考えると、期間5年という比較的短期でも、それなりの積立投資の恩恵は受けられるということだ。
ただ、当然、この先輩は61歳の1千万円達成後も、この老後資金を現金化することはなく、少なくとも65歳でフルリタイアするまでは有価証券のポートフォリオとして持ち続けるつもりだ。先輩の場合、60歳の定年退職時にはまとまった退職金を受け取ることができるので、流動性はこちらで確保できるので、余裕を持って投資を継続することが可能なのだ。
また、ある程度の節約習慣を50代後半の段階でマスターしておくと、再雇用時以降の年収減にもあるていど対処可能だという。先輩によると、老後資金1千万円達成後の再雇用時でも月数万円程度の積立投資を頑張って継続して行きたいということだ。
サラリーマンの場合、50代後半から老後資金の形成を始めても決して遅くはない
この先輩は、推定年収が1200万円であり、サラリーマンとしてはかなり高い部類である。
ただ、貯蓄目標額を(額面)年収の2割とすれば、この先輩と同じシミュレーションだと、176.4万円/0.2=882万円以上の年収があれば、5年で老後資金1千万円を貯めることは可能だということだ。
そして、サラリーマンは退職金があるため十分な流動性は確保できるので、再雇用時に積立投資がストップ、或いは、減額となっても有価証券はキープして長期投資をすることは可能だ。
もちろん、1千万円を狙わないとダメだということは全く無いので、自分のペースで頑張れば、50代後半という遅めのスタートでもそれなりの結果は出せるのではないだろうか?
50代後半でも、積立投資による老後資金の形成は、やるのとやらないのとでは大きな差になるだろうから、まずは行動してみてはどうだろうか?