定年後と老後資金、2000万円をコツコツと貯めることの意義

2000万円と言うと、「老後資金2000万円問題」が思い浮かぶが…

 「老後資金2000万円」が注目されてから、5年ぐらいは経過しただろうか?

今では「2000万円」というのが、定年後を見据えた貯金額の1つの目標値になっていると思う。

 もっとも、大企業サラリーマンの場合には、60歳まで働くと、退職金は2000万円を超えるだろう。また、近年の不動産価格や株価の高騰によって、相続だけで一気に2000万円以上を手にする恵まれた人達も結構いるのではないだろうか?

 しかし、退職金や相続ではなく、コツコツと長い期間をかけて2000万円の貯金を作るのは、そうそう簡単には達成出来ないと思われる。 

コツコツと2000万円を貯めることが出来ると人生が変わる?

 「老後資金」とか「2000万円」で検索をかけていると、私はこのような興味深い動画に出くわした。

https://www.youtube.com/watch?v=vSLZK1qzLwc 

このYouTubeの運営者はアラサーの方で、一人暮らしで貯金が得意なミニマリスト系の方のようだ。このため、必ずしも老後資金形成のための参考になるとは限らないが、参考になりそうなところがあったし、面白かったので、紹介したい。 

そもそも、金融資産2000万円保有者はどれくらいの割合で存在するのか?

 最初に言っておくと、このYouTube運営者は、コツコツと2000万円の貯金を作ることが出来れば人生が変わるので、頑張って貯めましょうということを視聴者に伝えたいのだ。

 そこで、最初に、金融資産2000万円保有者は少数であり、そこまで到達できたことについて自信を持った方がいいということを伝えたいようだ。

 この動画によると、50代で金融資産2000万円を保有している人の割合は17%、約6人に1人である。30代、40代と比べると、特別、少数というほどではないかも知れない。ただ、この中には相続とか退職金で2000万円を達成した人も含まれるだろうから、コツコツと2000万円を貯めることに成功した人は、自信を持っていいはずである。 

1000万円を充足してから、更に上を目指すことが重要

 目標とされる貯金額は、100万、500万、1000万というところが多いと思われる。

そして、この中でも1000万となると、なかなか達成出来ないので、かなり大きな目標になると思われる。

 しかし、この動画運営者によると、1000万円を達成してしまうと、そこで貯金額が低迷してしまう人が結構多いという。

 その理由としては、大きな区切りを達成したので、そこで達成感があり、安心してしまうのだと言う。

 また、1000万円を貯めたところで、劇的に生活が変わるわけでもないので、そこでモチベーションが失われてしまうということもあるという。

 このため、キリの良い1000万円を達成してから、更に、努力を続けて2000万円まで到達できるというのは、かなりの忍耐力、行動力を備えているということの証でもあるので、「自分は蓄財能力が高い」と胸を張っていいということだ。 

30代、40代の支出が増える時期を乗り越える

 30代、40代は住宅ローンや、子供の教育費等、支出が多くなりがちな年代なので、それまで順調に貯金が出ていても、ここで伸び悩む人が結構多いようだ。

 貯蓄2000万円を達成するには、この出費が嵩む年代も貯金を続けることが必要であろうから、ここを乗り切れることがカギだという。

 このため、貯金2000万円を達成したということは、いくつものハードルを乗り越えることができたというわけであるから、ますます自信を持って続ければいいということだそうだ。 

何故金融資産2000万円を達成できると人生が変わると言えるのか?

 この動画運営者によると、金融資産2000万円を達成できると、実質的な運用が可能となるので、金融収益を享受できるようになり、それによって人生が変わると説く。

 どういうことか言うと、金融資産が1000万円の場合には、ある程度の流動性や生活費を確保しておくという観点から、その大半を運用するという訳には行かない。

 例えば、月々の生活費の半年から1年分くらいの金額をキープしておこうと思うのであれば、500万円は元本確保可能な預貯金にすることが多い。そうなると、運用に回せる金額は500万円となる。

 他方、金融資産が2000万円となれば、キープする額が500万円であれば、運用に回せる資金は1500万円となり、貯金1000万円と比べると、3倍の額となる。

 仮に、1500万円を4%で運用したならば、年間60万円、月当たり5万円の金融収益を享受できる(税込みであるが)。これは、決して小さくはない金額である。

 更に、運用益を受け取るのではなく、再投資をして、複利効果を狙うという選択肢もある。

その際に、別途月に5万円の積立投資も行うとすれば、金融資産3000万円、4000万円も視野に入って来る。年収2000万円を実現できた人にとっては決して難しいことではないだろう。

 以上の様に、金融資産2000万円を達成し、複利効果を享受できるようになれば、お金がお金を生む世界に足を踏み入れることができる。そうなると、人生は変わって来るはずだという理屈である。

 50代から退職金や相続に頼らず、2000万円を貯めることは難しいが、まずは1000万円を達成して、複利効果を経験出来れば、お金の管理という面において、別の世界が見えて来るのではないだろうか?