私は50代になったので、ここから老後資金のたまに積立投資を始めようとしている。
相続、退職金、保有不動産・有価証券の売却といった、強力な老後資金源も人によってはあり得るだろう。
しかし、ここでは50代のサラリーマンが定年準備の一環で、老後資金のために積立投資で最大限貯められるためのポイントについて整理をしてみたい。
老後資金を作る積立投資の公式
積立投資で貯められる金額は、この式で算出される。
(月々の)積立の金額×想定運用利回り×積立投資をする年数
この3つのファクターが決まると、あとは、こういったアプリを使うと具体的な金額が算出される。
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/tsumitate-simulator/
従って、老後資金のための積立投資額を最大化するためには、
月々の積立金額、想定運用利回り、積立投資の年数をそれぞれ最大化すればいいのである。
以下、これらの3要素について、分けて考えてみる。
①(月々の)積立金額
(月々の)積立金額は、さらに、「収入」と「支出」の2つのファクターに分けられる。
「収入」を最大化し、「支出」を最小化すれば、(月々の)積立金額は最大化できる。
まず、「収入」の最大化なのであるが、実は、ここは50代サラリーマンにとって厳しいところである。
何故か?
それは、サラリーマンが50歳を過ぎると、「出世」による収入増は非常に難しくなる。
この段階ではほぼ出世競争については決着がついており、今から頑張っても、どうにもならないことが多いのである。むしろ、役職定年によって、「収入」は減っていく蓋然性が高い。
社内での出世による収入増が期待できないとなると、「転職」による収入増も理論上は有り得る話である。しかし、よほどの専門性とか営業力でも無い限り、50歳を過ぎての転職は難しい。
現実的には、50歳を過ぎて転職すると、年収ダウンになるリスクが高いだろう。
また、何とか年収増となる転職という選択肢があったとしても、それが60歳位まで継続できるのか、また、退職金とか企業年金を踏まえてもプラスとなるのかと言う点を慎重に吟味する必要がある。
残るは、副業収入を作る、或いは、増やすことである。
これは、サラリーマンリタイア後にも使える長い話なので、副業は挑戦する価値はあると思う。しかし、コロナ前のブログ・アフィリエイトで簡単に稼げるような時代では無いので、情報発信系の副業については収益化までかなりの時間がかかることと、収益化できたとしても月に数万円位と考え、期待し過ぎない方がいい。ただ、月数万円でも稼げる様になると、それは、お金の面でも、老後の居場所という意味でも非常に重要なので、その意義は決して小さくはないだろう。
他方、「支出」を減らすことについては、大いに見直す余地はあるのではないだろうか?
日本の大企業の場合、年功序列で50代になるとそれなりの月収があるはずである。
携帯代金、生命保険の見直し等、頑張れば月に数万円程度の捻出できるのではないだろうか?
それから、より重要なのが年2回のボーナスで、ボーナスの使途についてシビアに見直しをすると12万円位浮かないだろうか?それが出来ると、月々の積立に2万円を振り向けることができる。それがキツければ6万円でもいい。それでも、月々の積立額を1万円分増やすことが出来るのだ。
(月々の)積立金額についてまとめると、50代のサラリーマンにとって「収入」増は厳しいが、副業等を始めたり、大いに見直す余地のある「支出」についてはボーナスも含め頑張りたい。そして、月あたり、2~3万円分多く、積立投資に振り向けたい。
②想定運用利回り
ここは自分が頑張って直接、運用利回りを上げることは出来ないので、
結局、何に積立投資を行うのかという、投資戦略についての意思決定の問題だ。
このあたり、私は、独立系のFPとか、信託銀行の人に相談したところ、
「放置してもいい」投資資金であれば、100%をグローバル株式に積立投資をするのがいいだろうということになる。「15年でも20年でもほったらかすのがいい」と言われる。(50代のサラリーマンにそんな長期間ほったらかし投資を考えろと言っていいのかどうかはわからないが…)
そうすると、年間の投資利回り5~6%は期待できるだろうということである。
これに対し、私は「100%世界株式は抵抗があるので、機関投資家みたいに半分世界債券に投資するのはどうか?」と聞くと、「それだと投資利回り5%はちょっと厳しい」旨、言われてしまった。
S&P500或いはオルカンに100%積立投資をすべきなのか、S&P500(或いはオルカン)と世界株式に50%ずつ積立投資をすべきか、私としては悩ましいところである。
③積立投資をする年数
積立投資をする年数を長くするには、
- 若い時から始める、という方法と、
- なるべく長く、サラリーマンをリタイアしても続ける、という方法がある。
本来であれば、①がいいのであるが、もう今更過去に戻って積立投資をするわけには行かないので、これは後輩達に勧めることは出来ても、自分自身はどうしようもない。
ただ、2番目の少しでも長く、粘り強く積立投資を続けるというのは不可能ではない。
冒頭でリンクを貼った、金融庁の積立シミュレーションソフトをカチャカチャいじっていると、長く持てば、非常に複利効果が効いて来て、想定積立額がグッと増えるのである。
ちょっと頑張って、月に10万円を想定利回り5%で、10年間積立を続けるとした場合、10年後に貯まる老後資金は1,553万円。退職金を考えると、これでも十分なのだが、再雇用後も続けると仮定し、今から15年間、同じ条件で積立を続けると、15年後には2,673万円となる。さらに、あと5年間頑張って20年続けるとすると、何と4,110万円。
もちろん、50歳を過ぎて、20年間積立を続けると、70代まで頑張り続けるわけなので、あまり現実味も無いし、使うタイミングを逃すことになるかも知れない。
しかし、15年だったら何とかなるかも知れない。
もちろん、自分の月々の収入だけだと無理だろうけど、今までの貯金がそこそこある人や、相続である程度お金が入って来たならば、再雇用後は月にいくらか、今までの貯金や相続のお金を原資に積立を継続することは可能である。サラリーマンの場合は、退職金があるので、それ以外にちょっとした貯金があると現実性は十分あるかと思われる。
また、再雇用後とかにおいては、月々に積立額を減らすという手もある。
月に10万円を7万円とか5万円にすればいいのである。
積立投資を継続すると、金融市場や金融商品にアンテナを張り続けることになるだろうから、ボケ防止という観点からも悪くないだろう。
まあ、その頃まで積立投資をすると、それは積立で金融資産が膨らむこと自体が目的化して、貯蓄が趣味みたいになってしまうかも知れない。それについては、いろいろ考え方はあるだろうが、私の場合は、今までの貯金や相続のお金を使っても、15年位は続けてみたいなあと考えている。積立期間によって、全然、老後資金の額が変わってくるからだ。