定年準備、この1年間やってきて気付いたこと及び今後の課題

1.定年準備開始後、1年間でやってきたこと 

1)まずはインプット、「定年」関連の本を読みまくった

 ちょうど1年前の冬の終わり頃から、50代の私は定年に向けての準備を開始した。

何から始めたかというと、まだ定年までには時間が十分あるので、「お金」や「健康」といった具体的な対策の前に、「生き方」という抽象的なところから調べることとした。

 まずはインプットということで、「定年」を取り扱った新書や、「定年」に焦点を当てた小説を読みまくった。どのようにして読むべき本を探したかと言うと、「定年後 生き方」、「定年後 書籍 ランキング」、「定年 小説 おすすめ」といったキーワードでGoogle検索をし、面白そうなものをチェックしてリスト化し、本屋やブックオフで入手できた順に読んで行ったというイメージだ。

 本の入手については、自分のペースで読みたかったし、参考になった本は手元に置いておきたいので、本屋で買うか、古本をブックオフで買うことし、図書館は活用しなかった。

ただ、最新刊は少なかったので、半分以上はブックオフで安く入手することが出来た。

 「定年後」の生き方に関する実用書・新書と小説を合わせて、数十冊は読んだと思われるが、その中で参考になったのは以下の通りである。 

【新書・実用書】

  • 「定年後」(楠木新著)
  • 「定年準備」(楠木新著)
  • 「定年前、しなくていい5つのこと」(大江英樹著)
  • 「お金の賢い減らし方」(大江英樹著)

【小説】

  • 「孤舟」(渡辺淳一著)
  • 「終わった人」(内館牧子著)
  • 「定年ゴジラ」(重松清著)
  • 「毎日が日曜日」(城山三郎著)
  • 「老後のお金がありません」(垣谷美雨著)

この中で、特にお勧めなのは、楠木新さんの「定年後」である。

これは累計30万部以上売れている、定年後の生き方を扱ったバイブル的な名著である。

私は100回位繰り返して読んだかも知れない。

 この方は、多くの定年退職者にヒアリングをしているし、定年後に関する大量の本・小説までを読んだ上で「定年後」を執筆されているので、これを1冊読めば、その背後にある数十冊の本のエッセンスも知ることができるのでお勧めである。

 それから、意外と小説はお勧めである。

有名な作家が書いたベストセラー書は、文章も上手いし、ストーリー自体も面白いので、スラスラ苦も無く読めるし、結構参考になる。 

2)定年後の生き方を考える

 上記(1)の定年に関する新書や小説を数十冊も読むと、いろいろと、定年後の生き方に関するイメージが沸いてくる。これについては、一度考えると終わりというわけではないので、定年後に関する老後資金、仕事、健康、娯楽と並行して、考え続ければいいだろう。

 私の場合、定年後はお金を稼ぐというプレッシャーが無く、自由に好きなように生きられる貴重な期間であるので、とにかく「楽しむ」ことを心掛けたい。そして、「終わりよければ全て良し」ということで、充実した定年後を生きることができれば、現役時代の失敗・後悔も消えるだろうと楽観的に考えるようにしている。

 私は、楠木新さんの「定年後」で、イキイキしている人達は自分の好きな仕事をしている人が実に多いということを知って、「ひとり起業」をやってみたいと考えている。「起業」と言っても、オフィス、借入、仕入れも何にもなくても出来るネットビジネスであって、月に10万円位稼げればOKというレベルのものである。それは結局、情報発信ビジネスであるので、今、こうしてブログを書いているところである。

 それから、これは比較的最近に気がついたことであるが、いわゆる「ミニマリスト」と呼ばれる人達の生き方が結構参考になった気がする。ミニマリストというのは、若い人達が多いようだが、「少ない収入や資産でもシンプルに人生を楽しむ」という人生観は、定年後にも大いにつながるものである。

 そして、積極的に何か大きい「やりがい」や達成感を探すというのではなく、「嫌なことをやらなくていい」ということの幸福感をかみしめるということは、非常に定年後の幸福感を考える上で参考になった。

 ミニマリストの生き方に関する本でこれといったものはまだ見つかっていないが、YouTubeで検索を掛けて、気に入ったものを探せばそのエッセンスを知ることは出来るだろう。 

3)老後資産の形成について

 生き方の次は、老後資産という現実的な準備を始めることになる。

それまで、いろいろな経済誌を読んだり、先輩や同期の話を聞いたりしていたところ、老後資産の形成については、「インデックス系ファンドの積立投資」ということは何となく頭にあった。

 よく言われる「オルカンかSP500のインデックスファンドを積立投資をする」という方法である。

 とは言え、ある程度の金融リテラシーを醸成するためにも、投機とか銘柄選択系ではなく、教科書的な投資の実践法に関する本を読んだり、金融機関やFPに話を聞きに行ったりした。

 また、インデックスファンドの積立投資を行うための原資を抽出する方法として、「節約」に関するノウハウを習得するために、節約に関する本やウェブコンテンツのインプットを行った。

 ちなみに、積立投資や節約を行う上で、参考になった本は以下の通りである(順不同)。 

  • 「お金の増やし方を教えて下さい」(山崎元、大橋弘佑著)
  • 「『老後の資産形成をゼッタイ始める』と思える本」(野尻哲史著)
  • 「となりの億り人 サラリーマンでも『資産1億円』(大江英樹著)」
  • 「超高配当株投資入門」(かんち著)
  • 「すごい節約」(くらま著)
  • 「貯金はこれでつくれます」(節約オタクふゆこ著)
  • 「はじめての新NISA&iDeCo」(頼藤太希、高山一恵著)

なお、NISAiDeCoに関する本は、これがお勧めということはなく、似たような本が書店に複数並んでいるので、自分が読み易いと感じられるものを買えばいいと思う。

 そして、インプットの後は、実際に金融機関を訪問し、1つの金融機関でインデックスファンド(オルカンと世界債券)の積立投資を開始し、もう1つの金融機関では主としてインカムゲイン狙いで、ハイイールド債系のファンドと、高配当利回り型の日本株ファンドの投資を行った。後者については、NISA口座を開設した(まだNISA枠は一部残っている)。 

4)定年後の娯楽を考える

 定年後系の本を読んで、定年後の娯楽はすぐに見つかるものではないということは意識していた。

 そこで、私の場合は、定年後を意識して、読書、B級グルメ、地方移住等について、いろいろ行動してみたり、企画をしてみた。

 読書については、それまではミステリーの話題作を年数冊読むというレベルであったが、未読のミステリーの名著や話題作をリストアップして、新しい作家の作品を読んだりして、満足の行く読書が出来た。

 B級グルメ食べ歩きについては、まずはカレーを攻めようと考え、カレーの聖地である神保町の名店(エチオピア、スマトラカレー共栄堂)に実際に行ってみた。

 また、地方移住については、実際に実行する可能性は低いとはわかっているが、地方移住を想定した旅行やひと月くらいの滞在はやってみたいと思っているので、それに向けた情報収集を行った。とりあえず、候補地というか、私が地方移住を想定して行ってみたい先として、宮崎市、松山市、湯河原町あたりをピックアップできた。この情報源は本よりも、YouTubeに参考になるものが多い。実際に行けなくても、見ているだけで楽しいものも結構ある。

 2.定年準備に向けた今後の課題 

1)老後資産の形成について

 老後資産の形成については、既に昨年の夏から、積立投資を開始したし、また、主としてインカムゲインを重視した投資も行っている。

 ただ、まだできていないのは生活費全般における家計の見直し、すなわち、節約である。

具体的には、典型的な節約アイテムである、生命保険と携帯電話代金の節約がまだ出来ていない。生命保険については、多くの経済評論家やファイナンシャル・プランナーは生命保険には否定的であるものの、医療保険等について最低限何を残しておくかについては、あまり説明してくれていない。何度かほけん百花には足を運んだものの、私の保険に対する理解が不十分なこともあり、まだどうすべきかがわかっていない。そのうち、生命保険に詳しいファイナンシャル・プランナーに相談したいと思っているが、意外とそういうFPを探すのは難しい。今年中には何とかしたいと思っている。

 もう一つの携帯電話代金の節約については、格安SIMにすればそれでOKなのだが、現役サラリーマンであるうちは、どうも不安がある。そこで、とりあえず、現役のうちは、ahamo

にするのがいいかと思っているが、こちらもまだ行動出来ていない。

 節約によって、生活費から余分に月5万円位を捻出し、それを積立投資に振り向けることができると、結構なインパクトがある。例えば、月5万円を想定利回り年5%で10年間運用できたとすると、776万円の上乗せが可能となる。したがって、もうちょっと節約は頑張りたいと思っている。

 また、iDeCoについては、今のところ、やるべきか否か迷っているところである。

節税効果は有難いし、また、サラリーマンの場合、2025年度の制度改定によって上限額が月62千円まで引き上げられたことは大きい。

しかし、iDeCoの場合、積立てている資産の引き出しの制限があるので、そこが気になるところである。こちらも、結論を下すまで時間がかかりそうである。

 それから、老後資金については、確定拠出年金の対応及び公的年金に係る手続等の知識が圧倒的に不足しているので、こちらも年内に何とか勉強したいと思っている。 

2)自分の居場所:ひとり起業に向けての準備

 私は定年後に、ひとり起業、小さな費用のかからないネットビジネスを行うことを考えている。そのためには、やるべきことが沢山あるので、少しずつ準備を進めて行きたい。

 ブログについてはWord Pressを設定し、夏頃から起ち上げたいと思っている。

そして、来年位には、SNSの併用ということで、Threadsを始めてみたいと思っている。

私の場合は、文字情報を中心とした情報発信になるので、YouTubeは考えていないし、また、ターゲットが5060代の男性が中心となることを考えると、Instagramは必要ないと考えている。

それから、これは、ブログとSNSによって順調にフォロワーが獲得できてからの話だが、メルマガに誘導してのビジネスを考えているので、メルマガ発信アプリについても勉強して行く必要がある。

 この手の準備をするにあたっては、ウェブビジネス周りに詳しい人のコンサル無しでは厳しいので、私の場合は、それに向けて数十万円位の軍資金を用意しているところである。

 また、自営業とサラリーマンとでは、発想法から人脈まで、異なることが多いので、少しずつ、サラリーマン以外の人脈を拡げて行きたいと思っている。 

3)娯楽について

 娯楽については、きっちり計画して、年内にやってみたいことをリスト化しないと、結局何もやらないまま終わってしまうことが多い。年を取れば取るほど、行動力が落ちてきたり、新しいものを始めるのが億劫になるからだ。

 私の場合、昨年、読書の幅を拡げることが出来たが、まだまだ不十分だ。

ミステリーと小説の枠は多少広げることが出来たものの、歴史、ノンフィクション、その他ビジネス系については全く拡げることができなかった。

 今年は、歴史については、小説でもノンフィクションでも何でもいいので、何か一冊、面白い本を発見したい。とりあえず、司馬遼太郎ものを一冊、その他、「大国の興亡」の様な本に挑戦したい。とは言え、「サピエンス全史」(ユヴァル・ノア・ハラリ著)は難しそうなので止めておく。このあたりは、無理をしたり、周りの目を気にする必要は無いので、純粋に自分自身が楽しめそうな本を選べばいいだろう。

 それから、ビジネス書は当たり外れがあるが、去年読んだ中では「夢と金」(西野亮廣著)の前半部分が面白かった。ネットビジネス系の本は、再現性が高くないものが多い気がしていたが、これは面白いと思った。今年は、起業とかネットビジネス系で面白そうな本を探して、まずはリスト化したい。

 また、行動系の娯楽については、去年はB級グルメスタンプラリーを始めてみて、神保町のカレーの名店に訪問出来た。完全制覇は定年後の楽しみにするとして、今年は他のカテゴリーに挑戦してみたい。私は特にラーメン好きではないので、次は、スパゲティの名店、ハンバーグの名店あたりをリスト化したいと思っている。

 読書やB級グルメとは異なり、現役時代に実行するのが難しいのは、地方移住を意識した長期旅行である。実際に移住するかどうかは別にして、候補地に一か月位滞在して、暮らすような感覚で過ごしてみたい。

 もっとも、サラリーマンをやっていると、実際に滞在が可能なのは一週間程度であろう。

そうなると、普通の旅行と似たような感覚になってしまう。

 長期滞在は、定年後の楽しみにとっておいて、まだ行ったことが無い候補地(宮崎市か松山市)に、とりあえず34日間の短期旅行には行ってみたい。まずは、計画を練るところから始めてみるつもりである。

3.まとめ:生き方、その方向性の模索

 定年後に向けた準備において、お金、仕事、検討、娯楽といった具体的な項目について早い段階から準備をするのは当然重要である。

 ただ同時に、考え続けていきたいのが、定年後の生き方とかその方向性についてである。

定年後の自分自身の生き方に関する目標、コンセプト的なものをイメージしているが、悔いがない定年後を迎えるためにも、いろいろなケースを参考にしながら、セミナーに参加するとか、実際に自分が目指したい生き方をしている人に会ってみるとか、行動をしていきたい。

 定年準備の進捗については、また1年後くらいに振りかえってみようと思う。