ブログのタイトルであるが、「定年後」というと、何となく終わった感があり、それほどポジティブなイメージは持てないかも知れない。
しかし、視点を変えてみると、誰でも定年後は極楽生活を送ることが可能かも知れない。
そのあたりの理由について書き留めることとした。
1. 定年後はFIRE?を実現できる?
FIREとは、Financial Independence, Retire Early、の略で、「経済的な自立と早期の退職」という意味である。
https://www.orixbank.co.jp/column/article/235/
もっとも、定年まで働くということは、Retire Early、「早期の退職」とは言えないので、FIREにはならないはずである。
しかし、FIREの魅力のポイントは、RE、即ち、「早期の退職」の部分ではなく、FI、「経済的な自立」の部分にあるのではないだろうか?
早期に退職してしまうと、仕事も社会的ステータスもやりがいも無く、つまらなくて退屈だと考える人もいるからだ。
他方、「経済的自立」、すなわち、利子、配当、家賃その他の収入だけで生活できる状況は悪くないだろう。働きたければ働けばいいし、自由とお金の両方が得られる状況になれば、楽しい生活が送れそうである。
FIREの原資は、まとまった金額の株・債券といった金融資産や、不動産が想定されるのであるが、定年後には「年金」(65歳からであるが…)と「退職金」によって、それまで多額の資産が無かった普通のサラリーマンでもFIREのうちのFI、「経済的自立」の部分を享受することが可能となるのだ。
2.FI(「経済的自立」)の魅力と課題
FI(経済的自立)の魅力
それでは、改めてFI(経済的自立)の魅力について考えてみよう。
まず言えることは、働かなくても生活することが出来るわけなのだから、仕事が嫌ならば働かなくてもいい。「やりたい仕事に就くことができる」というのは大変幸せなことなのであるが、「いやなことをやらなくてもいい」というのも非常に幸せなことなのである。
そして、嫌なら働かなくてもいいということは、「自由がある」ということなのであるが、お金と自由があれば、人生を変えることが出来るのだ。
大前研一さんの名言で、「人生を変える方法は、時間配分を変える、住む場所を変える、付き合う人を変える」というのがあるが、定年後にFI(経済的自立)を実現すると人生を変えることが可能なのである。
出社しなくていいので時間は自由に使えるし、定年後であれば地方移住(住む場所を変える)も選択肢となり得るし、仕事や住む場所等を変えれば当然付き合う人も選択できることとなる。
これは、非常に魅力的なことである。
FI(経済的自立)の課題
しかし、定年後にFI(経済的自立)を実現できるのは素晴らしいことである反面、課題もあるようだ。それは、自由であっても「居場所が無いと辛い」ということである。
これは、定年後の問題点に切り込んだ楠木新さんの名著「定年後」によると、定年後の最大の問題は、お金や趣味ではなく、「居場所が無い」ことだそうだ。
(定年後の問題に関する名著「定年後」については、後日、ブログ記事を書きたいと思っている。)
自由とある程度のお金が得られても、仕事、肩書、同僚、職場(オフィス)、社内イベント等が全て無くなるというのは、非常に辛いということである。
もっとも、この「居場所が無い」という課題については、解決のヒントがある。
楠木新さんの「定年後」によると、定年後に輝いている人の例として「起業家」「非営利法人の運営者」等をあげている。自分の好きなことで、社会と何らかの関りを持っているということがポイントのようだ。
そう考えると、FIREではなく、SIDE FIREという路線を目指せばいいということになる。
SIDE FIREとは、利子・配当・家賃(定年退職者の場合には年金)といった不労所得にのみ依拠するのではなく、アルバイト、小さなビジネス等をすることによって、生活費を補強することである。
一般的にSIDE FIREと言うと、生活費の補完が主目的のようであるが、定年後においては「居場所」を確保するための社会的接点としての仕事をするという意味合いがより重要となる。
3.定年後は、SIDE FIREによって、居場所と充実した娯楽の双方の追求が可能となる
定年後の娯楽は、少額でも十分楽しめるものが多い
よくある「定年後」に関する本やメディアにおいては、「定年後には趣味を持て」というコンテンツを見掛ける。
しかし、サラリーマン時代は仕事や子供のことで精一杯で、趣味を持てていない人も少なくないだろう。
ただ、定年後においては、時間は十分にある。
この時間を利用することによって、少額でも十分楽しめる娯楽を見付けたいものである。
定年後におすすめの娯楽としては、まず、「読書」がある。
実際、町の図書館はオープンと同時に退職者が押し掛けるという話を聞く。
しかし、私がお勧めしたいのは、図書館で本を借りるのではなく、ブックオフで本を買うことだ。ワンコインもあれば文庫本を数冊買うことは余裕だろう。
何故図書館よりもブックオフを勧めるかということであるが、理由が2つある。
1つは、ブックオフで買うと、図書館とは異なり、返却期限が無いので、じっくり読めるということだ。
2つ目の理由は、少額でもお金を払って買うと、勿体ないから実際に読んで見るからだ。
図書館だと無料だからという理由で、まとめて借りて、結局積読で終わってしまうことも多いのではないだろうか?わずか110円で買える名作はいくらでもあるので、せっかく定年後時間があるのだから、読まないのは勿体ない。
読書以外にも、定年後の時間を利用して、少額で楽しめる娯楽はいくつもある。
それは、例えば、地下鉄を利用した近場の名所巡りだ。
皇居外苑、新宿御苑、日比谷公園、東京スカイツリー、日比谷ミッドタウン、上野動物園、すみだ水族館、神宮外苑、東京国立博物館、神保町古本屋巡り等、知ってはいてもサラリーマン時代には訪問出来ていない名所はいくらでもあるだろう。
https://www.nta.co.jp/media/tripa/articles/OUdBc
定年後の娯楽の代表格は「旅行」であるが、別にお金を掛けなくても、近場にも訪問すべき名所はいくらでもあるはずだ。そして、「暇」であることの強みを利用して、B級グルメ、人気のラーメン屋、カレー屋等を順番待ち覚悟で訪問すると、低予算での満足度は更に高まるはずだ。
SIDE FIREの併用で娯楽は更に充実化が可能
定年後は時間的余裕があるので、上記の様な娯楽を、低予算で楽しむことが可能だ。
そして、SIDE FIRE、即ち、年金や金融収益以外に、ちょっとしたアルバイトや個人ビジネスを併用すれば、予算が増えて更に可能性は拡がる。
定年後はお金のために無理して働く必要は無いので、嫌なら働かなくてもいいが、その場合には退屈だし、何らかのちょっとしたやりがいが欲しいという人はいるだろう。
アルバイトであれば、お気楽で、嫌なら辞めればいいし、自分にフィットするのであれば儲けものだ。さらに、定年後ひとり起業で月に数万円稼げる様になると、遣り甲斐もあるし、娯楽資金も増える。
このあたり、いろいろと試してみればいいのではないだろうか?
以上の様に、定年後は、自由とそこそこのお金があるわけなので、嫌なことはやらなく良い。
そして、やりたいことがあれば自由に試してみて、ちょっとしたお金と工夫で十分に充実した娯楽を楽しむことができる。やはり、定年後は極楽生活を追求したいものだ。