「ひとり起業」、個人のネットビジネスでは何が当たるのかがわからない
私は定年準備中の50代サラリーマンであるが、定年後は「ひとり起業」、小さな個人のネットビジネスに挑戦するつもりである。
YouTubeとかSNSの世界では、「なんでこんなものが?」、「これは子供しか面白がらないのでは?」と、サラリーマンからは到底理解できないものが数百万人のチャンネル登録者や数万人のフォロワーを集めていたりする。
自らも、このよくわからないネットの世界でビジネスを展開しようと思うのであれば、それら人気のコンテンツの魅力や強みを理解し、それを応用して行くことが求められる。
そこで、私もマーケティング的なセンスを磨きたいと感じていたため、たまたまブックオフで見かけた本書を買ってみることにした。
本書でいう「マーケット感覚」とは?
本書の「マーケット感覚」とは、「売れるものに気がつく能力」と「価値を認識する能力」を言うようだ。まさに、私が求めているものである。
そして、本書では「これから何が売れるのか?」をわかる人になるための5つの方法が紹介されている。
本書から得られる示唆・感想は人それぞれだろうが、ここでは、私が感じたことをメモ代わりに記載し、それをブログ記事としても公開したい。
「マーケット感覚」が試される面白いケース
本書では、「マーケット感覚」がどういったものかを読者に理解させるために、いつくかのケースが紹介されている。その中で、私が興味深いと感じたケースは以下のものである。
まず、「ジャパネットたかたの売っているものは何か」、「ジャパネットたかたの価値は何か」という問いかけを読者にしている。もちろん、「家電」が答えではない。家電量販店、楽天やアマゾンでのネット販売等、家電を買う方法はいくらでもあるのに、どうしてジャパネットたかたで買うのかということを考える必要がある。著者のちきりんさんは、これについて、孫が祖父母のためにタブレットを選んであげるシーンを挙げる。孫は祖父母のニーズや予算を理解しているので、祖父母は他の商品や値段に疑問を呈することなく、孫の勧めるタブレットを買う。この背景には孫への「信頼」があるのだという。ちきりんさんによると、ジャパネットたかたの価値も同じで、消費者のニーズや予算を十分リサーチし理解した上でベストのものを勧めていて、消費者は先ほどの孫のケースと同様にジャパネットたかたに対する「信頼」があるから買うのだという。
2つ目のケースでは、20代の年収200万円台、高校卒のコミュ力のあるイケメン君が結婚情報サービスで200連敗する話である。著者のちきりんさんによると、確かに年収や学歴は高くはないかも知れないが、イケメンでコミュ力もある20代が200連敗するということは考えられない。そのイケメン君に対するニーズは必ずあるはずだ。
ただ、この敗因はイケメン君が、学歴と年収が重視される自分に取って不利な「市場」を選んだことに尽きるという。そうではなく、容姿、コミュ力等も考慮される「市場」、知人の紹介、合コン、スポーツや趣味の出会いの場で戦えば、こんな結果にならないのは容易に想像がつく。
これは考えると我々も似たような誤りをしてきた可能性はある。
転職活動においても、「業務経験」が重視される転職市場では、業務経験が無いと潜在能力が高くても書面が通らなかったりする。そういう場合は、エージェントや対象企業を見直すなどして、自分が勝てる「市場」に切り替えなければならない。
そして、個人のネットビジネスも同様で、「美容整形」が収益化し易いカテゴリーだとしても、「美容整形」の経験も無い人がネットでググって記事化しても経験者には太刀打ち出来ない。また、「転職」関連が収益化し易いカテゴリーであっても、転職経験の無いサラリーマンにとっては有利な「市場」とは言えない。
客観的に見ると当たり前でも、「何となく」自分に取って不利な市場で戦っていることはあり得るので、この点、要注意であると認識した。
それから、3つ目のケースとして「これからは英語の時代って本当」という問いかけも興味深い。というのは、競合サイドに着目すると、フィリピンとかインドのような人口の多い国においては、ネイティブ並みに英語が出来る人達が沢山いる。他方、今後も人口が増加し続け、日本とも関りが深い国にインドネシアがあるが、インドネシア語を話せる日本人はほとんどいない。著者は、自分が若いと英語よりもインドネシア語を勉強すると言っている。
これはマーケットの将来や変化を考えられる能力であって、現在潤っているマーケットだけを見るのではなく、将来大きくなりそうなマーケットを常日頃から意識することが重要なのである。
個人がネットで勝つには、既に飽和状態の市場に参入してもまず無理で、現在は市場が小さく競合も少ないが、将来は大きくなる市場を見つけることが必要である。
マーケット感覚を鍛える5つの方法
本書では5つの方法が紹介されているが、私は気になった以下の4つの方法についてまとめてみる。
①プライシング能力を身につける
個人のネットビジネスにおける典型的なプロダクトは、個人コンサルとかセミナーである。
その場合、値付け、プライシングをどうするかは死活問題である。
例えば、1回で集客できる顧客数が10~20人程度、そして、セミナーの開催頻度がマックスで週1回だとしよう。そうすると、月当たりの延べ集客数は40~80人である。
ここで、セミナーの受講料を3千円としたら、どうだろうか?
その場合、月当たりの売上は12万~24万円にしかならない。他に、個人コンサルとか有料コンテンツ販売による売上もあるかも知れないが、セミナー運営費用を考えると、とてもビジネスが成り立たない。
この場合、ビジネスが成り立つためには、セミナー料金をいくらにするか、それで集客するためにはどのような内容にすることが必要かを逆算しなければならないのである。
その際に重要なのが、「一物多価」ということである。
例えば、自分が占いビジネスを考える場合、同じサービス内容でも、無料でもやってほしくないという人もいれば、自分の占いのブログの濃いファンであれば数万円でもやって欲しいと思うかも知れない。
このあたり、単純な相場にのみ惑わされることなく、自分でリサーチして考えて行くことが必要である。
②とりあえずやる
「市場」や「プライシング」を知るといっても、それは簡単にわかるものではない。
例えば、どんなブログ記事やXのツイートが受けるかなんて、発信してみないとわからない。そして、いろいろと発信した上で、その結果を踏まえて、その後のブログ記事や発信に活かしていくことが大切なのだ。
このため、ブログでもXでもYouTubeでも、まずは複数のコンテンツを発信してみて、それを足掛かりに「市場」や「プライシング」について推察していくしかない。
私のこのブログは2025年の6月から始めたばかりであるので、まだアナリティクスやサーチコンソールの出るタイミングではないが、とりあえず記事数は多めに投入して行くつもりである。
③成功と失敗
これは上記②とも結びつくところであるが、とりあえず情報発信をしても、当然すべてが成功ということにはならない。というか、PVとか「いいね」を多く得られる発信の方が少ないであろう。
ただ、個人のネットビジネスのいいところは、ブログとかXの情報発信は大してコストが掛からないということである。したがって、失敗、発信がすべったところで大したダメージは無い。
重要なのは、失敗の原因を究明し、それを今後成功につなげることが出来る学習能力であろう。この点、自分だけで解決できない場合には、有料でもその道に詳しい人にコンサルをしてもらってもいいだろう。
精神論的な話であるが、個人ネットビジネスは、とにかく数を打って、「率」に拘らず、成功の「数」を累積的に増やして行けばいいだろう。
④市場性の高い環境に身をおく
大きな組織でサラリーマンをやっていると、なかなか「市場」を意識した習慣・行動は身に付きにくいかも知れない。
そうなると、ネット関係で独立している人達と多く知り合い、切磋琢磨できればいいのだが、普通にサラリーマン生活を送っているだけでは、そういうチャンスは多くない。
ここは意識的に、そういう場に自らが足を運ぶことが求められるので、各種セミナーとかイベントを検索したり、個人ネットビジネスのコンサルをしてもらう際に相談したいと思う。
そのために、軍資金は豊富な方がいいので、「百円貯金」とかをコツコツと手掛けて、それを使ってみたい。
まとめ:日頃の思考訓練が重要
マーケット感覚を磨いていくには、日頃から「このYouTubeのチャンネル登録者数が多い(少ない)理由は何か」、「こんな高額な商品・サービスが人気なのは何故か」、「将来、どのような個人ネットビジネスが有望か」といったことを考える癖をつけることが必要だ。
そのため、今後は人気のネットビジネス、コンテンツに着目して、その理由について、ブログで紹介するというのも面白いかも知れない。
マーケット感覚は、今後、継続的に強化して行かなければならないスキルである。