1.定年後を見据えた資産形成を始めたいのだが…
50歳を過ぎると、定年まで時間はそれなりにありそうだが、定年後に備えて資産形成を始めたくなるものである。
「年金2,000万円問題」が取りざたされるようになったのは2019年のことだが、コロナ以降のインフレが激しいので、そもそも2,000万円では足りなのではないかと不安になる。
定年後を見据えた資産形成は早く始めた方がいいに決まっているのだが、なかなか行動に移すことが出来ない。
やるべきことは明らかで、「上手く節約をして、毎月の投資の原資を大きくして、SP500とかオルカンのインデックスの積立投資を始める」ことである。
わかっていても行動に移せないのは、ダイエットと似ているかも知れない。
世の中にダイエット本とかウェブコンテンツは山ほどあるが、やるべきことは簡単で「食事を上手くコントロールしつつ、運動量を増やすこと」である。しかし、多くの人は、わざわざお金を払ってスポーツジム通いをしたり、専任のインストラクターを雇ったりしている。
結局、人は第三者に背中を押してもらえないと行動に移せないのかも知れない。
そこで、資産形成も同じかも知れないと考え、私は、第三者に背中を押してもらうべく、FP(ファイナンシャル・プランナー)に相談することとした。
2.生まれて初めてFP(ファイナンシャル・プランナー)に相談してみた
どうやってFPを見付ける?
FPといっても、いろいろある。
しかし、私はFPに相談する場合、金融機関系は絶対NGで、独立的な立場にあるFPにすると決めていた。理由は明快で、金融系FPは自社の商品を勧める可能性が高いからだ。実際、ブログとかで検索すると、そういった話をよく聞く。
このため、独立系FPがいいのだが、どうやって見つけるかはよくわからない。
そこで、私は、高島屋ファイナンシャル・パートナーズに相談することとした。
どうやって知ったかというと、高島屋カードの月刊誌で紹介されていたり、マネー系雑誌で紹介されていて、前から気になっていたからだ。
申し込みは簡単で、ウェブ系で最寄りの高島屋(※全ての店舗ではない)を選択して、日程を調整すれば良い。私の場合は、対面での相談を選択することとした。相談料は無料である。
高島屋のFPとの面談内容
教科書的・原理主義的なアドバイスをしてくれる
「定年後を見据えて資産形成を考えています」と言うと、担当FPが、いろいろと具体的なアドバイスをしてくれる。そこで特徴的なのは、非常にオーソドックスで教科書的なアドバイスである。
どういうことかと言うと、「長期、分散、積立(ドルコスト平均法)、インデックス投信」である。
担当FPはPCを使って、具体的な投資信託を組み合わせたポートフォリオ案を見せてくれる。そこには、過去の実績に基づく期待リターンや、5年後、10年後、15年後…のシミュレーションのグラフを見せてくれる。
そして、それを見ながら、話をするのである。
意外と攻めるポートフォリオ…
推奨してくれるポートフォリオ案は、外国株(或いは海外REIT)のインデックスファンドを組み合わせたものである。ポートフォリオには債券系のファンドが入っていない。
そこで、「機関投資家みたいに、(外国)債券を入れなくてもいいのですか?」と聞くと、
「個人の場合、5%超の期待リターンを希望する方が多く、そうなると全て『株』で構成することになります。」と返ってきた。
それに対して、私は「それだとリスクが高くなるので、嫌がる個人投資家の方もいるのではないですか?」と突っ込むと、「個人の積立投資の場合、いわゆる『ほったらかし投資』が可能となります。個人の場合、年金や金融機関と違って、運用資産から分配等を考える必要が無いので、長く持ち続けることが可能です。株だけのポートフォリオだと確かにボラティリティは高くなりますが、10年、15年、20年と持ち続ければいいのです。」とのこと。
50歳を過ぎているのに「15年、20年」も積立投資を続けられるのかと思ったが、リスクの点は長期投資によってカバーできるという考え方である。
複利の考え方を重視
外国株式投信やREIT投信にはいろいろなタイプがあるが、FPが進めるのは「無分配型」である。長期投資が前提であるので、複利効果を重視するからである。
当然、毎月分配型とかテーマ型投信など、眼中にない。
余談:保険はやっぱり要らない…
今回の相談内容とは直接関係無いが、FPの人に聞いてみたかったことがある。
それは、「保険は本当に要らないのか」ということだ。山崎元さんとか大江英樹さんを始め、個人投資家向けの金融商品の専門家は、例外なく、保険のことをボロクソに言う。あまりにも保険が可哀そうなので、本当に不要か聞いてみたら、やっぱり「要らない」という答えがバシッと返ってきた。理由は、「保険に支払う分を自分で積立てた方がコストが低くて良い」ということだ。もっとも、相続対策とか必要な範囲の死亡保険は別だが、他は要らないということだ。私は月2万円程度の定期保険に入っているだけだが(終身は無し)、これをどうすればいいかについては、また別途FPに相談しようと思う。
担当FPのポートフォリオが気に入れば、SBI証券で投資
なお、高島屋ファイナンシャル・パートナーズは証券会社では無いので、そこで直接投資信託の注文をすることができないが、金融商品仲介業者という位置づけで、提携しているSBI証券に口座を開いて発注することとなる。
このため、SBI証券の豊富な商品への低コストでの投資が可能であり、かつ、投資開始後も対面で高島屋ファイナンシャル・パートナーズに相談できるので、これは便利だと思った。
3.FP(但し、金融機関系は除く)に相談するのは悪くない
今回、FPから聞けた話の内容自体は前から知っていたことばかりかも知れない。
しかし、ダイエットと同じで、第三者に相談して背中を押してもらうと、実行しようというモチベが上がってくる。
私は即取引を開始した訳では無いが、近いうちに積立投資を始めようという意欲が高まった。
定年後を見据えて資産形成を始めたい、しかし、なかなか行動に移せないという人は、中立的なFPに相談してみるのは悪くないだろう。