新年会で大学同期が集まった際、「定年間際なのに義務教育の子供がいる場合のお金の問題」について盛り上がった(別のブログ記事参照)。
その際に、「せめて、今、老後資金が1千万円あればなあ…」という意見が出て話が逸れ、
「老後資金1千万円をどう貯めるか?」という話題でも盛り上がった。
そこで、今回は、定年準備の一環として、老後資金1千万円をどうやって貯めるのかについて考えてみたい。
金融庁の「つみたてシミュレーター」を使ってみる
つみたてを使った貯蓄のシミュレーションについては、この金融庁の「つみたてシミュレーター」がわかりやすい。
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/tsumitate-simulator/
1千万円をどうやって貯めるかについては、以下の3つのファクターを考える必要がある。
- 毎月の積立金額
- 想定利回り(年率)
- 積立期間
以下、これらの3項目を個別に検討してみる。
老後資金については、「積立期間」に制限がある
定年準備として、老後資金1千万円を貯める上で問題となるのは、「積立期間」である。
もし、30~40代のうちから老後資金の積立の準備を始めれば問題無いのだが、働き盛りのその頃に定年後を考えて準備をする人は少数であろう。
多くの場合、私もそうなのだが、老後資金を考えるのは50歳を過ぎてからであろう。
そうすると、サラリーマンの場合、役職定年、定年、再雇用等の期間の終了と、次々に壁が生じ、長い間、ゆっくりコツコツと貯めていくのは難しい。
もっとも、定年(60歳時点)まで10年を切っていても、「積立期間」は10年以上、考えたほうがいい。複利効果が効いてくるには理想を言うと15年以上欲しいのだが、せめて10年は何とかしたい。途中、定年を迎えることによって、それまでの積立金額を維持なくなった場合には、減額して続ければいいのである。
また、以下で紹介する月々の積立金額は3~5万円程度であるので、給与から捻出できなくなったとしても、退職金以外に貯金があれば、それを使って続けるのでも構わない。
従って、とりあえず「積立期間」は10年と設定して、それに向けてとりあえずスタートするのがいいだろう。
「想定利回り」はどう考えればいいか?
ここはあまり楽観的に考えない方がいいだろう。
積立投資の投資対象が100%(グローバル)株式である場合、5%とおくのがいいだろう。
(この点、FPに相談すると、100%株式に投資をする場合には「6%」とか「7%」という想定でシミュレーションをする場合もあるので、5%超の「想定利回り」をベースに考えるのが良くないと言うつもりはないが、私は5%位にしておきたいということである。)
ポイントとしては、積立に回せるお金は生活費に振り向ける必要が無く、目先の上げ下げを気にすることなく、ほったらかし投資に充てられるお金であるということである。
積立期間10年、想定利回り5%(年率)とした場合、月々にいくら必要か?
積立期間を10年間、想定利回りを5%と想定しよう。
そうすると、さきほどの金融庁のシミュレーターを使うと、1千万円を貯めるのに必要な、月々の積立金額が、「64,399円」と算出された。キリ良く6万5千円としよう。
期間10年、想定利回り5%とした場合、毎月、6万5千円を積立投資に回せば、老後資金1千万円が達成されるのである。
しかし、毎月6万5千円というのは決して楽ではない。
そこで、サラリーマンの場合は、年2回のボーナスがあるだろうから、これも原資にすべきである。
月々6万5千円ということは、年間で78万円ということである。
そうすると、例えば、
- 月5万円×12か月+9万円×年2回
- 月4万円×12か月+15万円×年2回
- 月3万円×12か月+21万円×年2回
といった組み合わせが可能である。
③の場合は、ボーナス負担がキツそうな気もするが、ボーナス比率の高い会社の場合には、①や②よりも、このパターンの方がやり易いかも知れない。
このあたりの組み合わせは、住宅ローンや自動車のボーナス返済の状況等を勘案して、各自が調整する必要があろう。
月5万円、ボーナス9万円×年2回のケース
この場合、月5万円を捻出することになる。
ただ、その人のお金の使い方の中味にもよるが、そこそこ健全な生活をしている場合には、そこから節約によって5万円を捻出するのは決して楽ではない。
今まで特段の節約をしていない場合には、携帯電話代金と生命保険を見直すことによって、
2~3万円程度を浮かせることは可能とされている。
それに加えて、住宅ローンの金利の見直しによって、金利削減に成功すれば、合わせて月5万円の捻出は達成できそうである。
しかし、住宅ローンの金利の見直しカードが使えない場合は、もっと節約で頑張る必要がある。水道光熱費の一本化による節約とかもあるが、金額のインパクトはそれほど大きくはない。
そうなると、さらに「変動費」の節約に踏み込んで、交際費、外食費、娯楽費を見直す必要がある。しかし、変動費の節約をするには家計簿アプリやノートを付けて本格的に取り組む必要があるし、娯楽費を削ることによってストレスが生じないよう留意する必要がある。
今まで浪費が多い生活をしていなければ、節約だけで月に3万円以上を捻出するのは、決して楽でないことがうかがえる。
ただ、副業を活用する手はある。
例えば、メルカリで月1万円を夫婦共同で捻出するというパターンである。
副業は定年後も有効活用できるスキルなので、徐々に磨いていくのも悪くないだろう。
無理せず、積立期間を延長してみるという手もある
月3万円なら何とか捻出できそうだが、5万円となると楽じゃない。
あまり切り詰めてストレスを貯めて、その結果、積立を止めてしまうのは意味が無い。
その場合、積立期間を延長してみるという手もある。
例えば、金融庁のシミュレーターを使って、積立期間を10年から12年に延長すると、
月々の積立金額が約6万5千円から、月5万823円となる。
そうすると、年間に必要な積立総額が約61万円となる。
ボーナスからの捻出額は1回あたり9万円と変えない場合、月当たりの積立額は約3万6千円まで下げることが出来る。
もっとも、「ただでさえ50歳を過ぎてからの積立投資で、積立期間を長く取れないのに、それを更に引き延ばして考えていいのか?」という疑問を持たれるかも知れない。
しかし、それはとりあえず始めてみて、何とかやれそうであれば、その後に引き上げれば済む話である。まずは続けられる範囲で始めてみるのが重要で、軌道に乗ればモチベーションも湧いて来るはずである。
また、老後資金1千万円というのは目標であって、義務ではない。
積立金額を減らした結果、10年後のお金が700万円とか800万円と、未達に終わったところで問題は無い。本来積立投資を始めなければ貯まらなかったお金であるので、それなりにまとまったお金が貯まるのは結構な話である。
そして、60歳の定年後、65歳の再雇用期間終了以降のフルリタイア時と、段階的に月収は減っていく。その時になってから急に節約をしようと思っても大変なので、50代のうちから徐々に節約を習慣化していくことは悪くはない。
このあたりの、老後資金の捻出方法については、同じくらいの年収のサラリーマンでも千差万別だったりするので、まずは無理せず自分にあった方法で始めてみるのが良いだろう。