1.「三千円の使いかた」とは?
「三千円の使いかた」は、お金と家族に焦点を当てた小説である。(著者は原田ひ香さん)。2022年時点で60万部以上売れている大ベストセラー本で、テレビドラマ化もされている。
ストーリーは、御厨家の4人の女性のお金と生活に関する話で、理想の一人暮らしを始めた20代の独身OL美帆、美帆の姉の元証券会社OLで既婚・子持ちの真帆、その母親で習いごとに熱心で向上心の高い母親・智子、そして、一千万円を貯めた祖父の琴子が主たる登場人物として、彼女たちの友達も含め、大小様々な問題に立ち向かっていくというお話である。
財テクとかお金に係るノウハウがメインではなく、女性の生き方について、お金の話を絡めながら展開していくストーリーで、全体としては前向きな読後感が得られる話だと思う。
2.本作の登場人物である、人気FPの黒船スーコの節約術とは?
本書は小説として十分に楽しめてお勧めなのだが、今回お伝えしたいのは本そのものではなく、本作の登場人物である人気FP「黒船スーコ」の節約術についてである。
妙な名前の登場人物であり、脇役的な存在なのであるが、人気FPとして複数の場面で登場する黒船スーコは私にとって結構印象的だった。
黒船スーコは、テレビドラマではアンミカさんが演じ、「8×12は魔法の数字!」というのが知られているが、私が気になったのは彼女の説く「節約術」である。
ちなみに、気になる方もいるだろうから、「8×12は魔法の数字!」というのは、毎月8万円を貯めると12か月(1年)で96万円、それにボーナスごと2万円ずと貯めると12か月(1年)でちょうど100万円貯まるということ。これを40歳から始めると20年で2000万、30歳からだと30年で3000万貯まって、老後の資金問題は解消。さらに、これを例えば年5%で運用できたとすると、20年で3000万超、30年だと6000万超、軽く貯まってお金持ちですという理論。ツッコミどころがあるとすれば、月8万円貯めるのはちょっと厳しいというところか?
話が逸れたが、私が印象に残った節約術は簡単で、以下の2点。
- 固定費の見直し
- 100円でもいいから毎日貯金を続けること
この黒船スーコの節約術のどこが気に入ったかと言うと、単純・シンプルであるからだ。
世の中に節約本や節約コンテンツは溢れているが、あれこれ情報が多く、結局どうすればいいかピンとこないまま、何もしないで終わるからである。
もう一つは、自分はこれが特に気に入ったのだが、②の「100円でもいいから毎日貯金を続ける」というのが良い。
節約とか、積立投資は、とにかく実行しないと始まらない。
「いくら貯めるか?」とか「いつまで貯めればいいか?」「何に投資をすればいいか?」
ということを悩んで何もしないのが最悪で、見切り発車でもいいので、兎に角、節約とか積立投資を始めるべきだ。
反対に、一旦、節約や積立投資を実行すれば、あとは継続するのみで、中味については、後で是正すればいい。
いかに「習慣化」できるかどうかがカギなのだと思う。
ちなみに、私の場合は、オフィスの机の引き出しに毎朝の出勤時の習慣として、財布にある小銭から100円玉数枚を貯金することとしている。(この方法がいいというわけでも無いが…)
特に20代とか、若い人は、今すぐにでも始めることが出来る、この100円預金(500円じゃハードルが高いかも知れないので)をやってみることが大事だ。
3.節約に関するいくつかの考察
私は実は節約に関する知識は大してなく、まだまだ情報収集の段階であり、理想の節約術を習得しているわけではない。
ただ、月々の節約とそれによる積立額の上乗せは、10年、15年で大きな差になるので、改善して行きたいと考えている。
そこで、節約術に関する情報について、思った点を備忘録的に以下、書き留めてみる。
「やっても無駄」「やるのは有害」な節約術を明示してくれるとありがたい
ネガティブなことは伝えたくないからか、節約術系コンテンツについては、「これをやるな」よりも「これをやれ」の方が圧倒的に多くは無いだろうか?
しかし、わかりやすいのは「これはやるな」系の話ではないだろうか?
例えば、「やっても無駄なこと」として、電気代をケチるために電気を暗くしたり、水道代を減らすために風呂の頻度を減らすといったものは、効果が薄い割に「ストレス」が貯まるというものである。
また、「ストレス」の度合いが強いという切り口から、好きな事を抑制する、具体的には、食道楽の人が食費を削るといったものである。削るのであれば、使っていない有料アプリとかであって、ストレスが強まると結局続かなくなってしまう。
固定費削減については、重要性が高いものを具体的に絞り込む
「削るのは固定費だ」ということをわかっている人は多いが、やるべきことをもっと具体的に明示した方がいい。
この点、いいなと思ったのは、ある独立系FPのメルマガで、「夫婦で携帯代金と生命保険の見直しをやって月3万円を浮かせろ!」という話だ。あれこれ多くの項目を並べるよりも、やることを絞り、かつその効果を示すとやる気が出る。この2項目だけで月に3万円も浮くとなると、見直そうというモチベーションが沸く。
ゲーム感覚、エンタメ的要素がある
これは人によってゲーム感覚は異なるのだろうが、ストレスが貯まる節約の反対で、エンタメ的な要素があれば、継続し易い。
例えば、黒船スーコの100円預金などはこれに該当する。毎朝、100円玉を数枚づつ机の引き出しに貯めていくと、2週間もすれば、ゲームセンターのコインの様に、100円玉がギッシリになって貯まった感を感じることができる。もちろん、そう思わなかったり、それだと、使ってしまうという人はいるだろうが、そうであれば、自分に合った方法を見付ければよい。
節約の効果が見える化できれば、モチベーションアップにつながり易いのではないだろうか?
節約については、興味深い本が数冊あるのだが、大きな本屋に行かないとダメそうなので、近いうちに買って見て、良ければまた記事にまとめたいと思う。