月5万円、超節約の年金生活が何故可能なのか?

シニアの一人暮らし、900万人突破

 高齢化が進み、2024年時点で、65歳以上で1人暮らしをしている人の数が900万人を突破したという。そういう人達の中にも、工夫して1人暮らしの年金生活を楽しむ人もいるという。フジテレビの「サン!シャイン」という番組では、その中で「紫苑」さんという著名ブロガーの74歳の方を紹介していた。

https://mezamashi.media/articles/-/175320 

紫苑さんは、元新聞記者をされていて、2人のお子さんは独立し、現在は1人暮らしをされている。

 この番組によると、紫苑さんの2か月分の年金受給額は94,094円。一か月あたり約47千円である。

 この6月の生活費の内訳は以下の通りで、何と合計46789円。 

  • 食費 1716
  • 水道・光熱費 9092
  • 通信費 9651
  • 交通費 2000
  • 医療費 980
  • 日用品 2350
  • 保険など 12千円

合計46789

 本当に、こんなことが可能なのか、後ほど自分なりに検証したいところだが、番組によると、「光熱費や通信費は平均的ですが、目を引くのが『食費』です」ということで、とにかく「食費」が凄いということのようだ。

 月の食費が約1万円ということは、1日あたりの食費が約330円、1食当たりの食費が約110円ということである。なお、朝は「ヨーグルトとリンゴとパン」ということで、まとめ買いをすると出来なくはないかも知れない。昼食とか夕食となると、まとめ買いをしても厳しそうな感じもするが、この番組で紹介されていた昼食は、そうめんで、食材は、そうめん1束、トマト1/3、ツナ缶1/2、お手製ハム、カイワレ大根1/3で、約110円に収まるのだという。(「お手製ハム」というのが謎だが…)。ただ、タンパク質、野菜と、営業を意識して多くの材料を使っているところが、大したものだと思った。 

他のミニマリストの家計と比べてみると

 紫苑さんは、食費に工夫をしているというのは番組の紹介で何となく理解できたが、それでも、月5万円で生活というのは私としては納得ができなかった。

 そこで、私が時々ブログを参考にしている、あるミニマリスト夫婦の家計と比べてみることとした。

 https://iloveore.com/living-expenses/15811/ 

このブログの運営者はミニマリストの「れお」さんで、30代で奥さんと2人暮らしである。そして、ミニマリストだけあって、夫婦で生活費が20万円である。

 夫婦で生活費20万円と聞くと、それほど驚かないかも知れないが、「れお」さん夫婦は、大阪在住で車も保有している。このため、家賃と駐車場代を合わせた91千円が生活費の20万円に含まれている。ということは、家賃を除くと夫婦二人の生活費合計は約11万円であり、1人当たりだと約55千円!先ほどの紫苑さんと変わらないではないか。

 上記のブログ記事に詳細な説明がなされているが、月の生活費の内訳を抽出すると、以下のようになる。 

  • 家賃 91,000
  • 通信費 10,000
  • 水道ガス光熱費 23,000
  • 自動車関連費(交通費含む) 21,000
  • 保険 4,000
  • 日用品 3,000
  • 食費 20,000
  • 交通・娯楽費 15,000
  • 副業経費+サブスク類 12,000

毎月の生活費(平均) 約20万円

 先ほどの紫苑さんと比べると、夫婦二人で食費が2万円なので、一人当たりに換算すると1万円であり、紫苑さんと変わらない。ただ、このご夫婦は、朝食は取らず、昼・夕食が(要するに11食!)納豆、味噌汁、若干の野菜、ご飯という質素な和食系とのこと。食道楽に人には到底真似できない話である。

 水道ガス光熱費は夫婦2人で23,000円なので、1人で9,000円の紫苑さんより若干高い。もちろん、かなり低い水準だと思われる。

 節約のターゲットとなる通信費については、夫婦で1万円であり、ひとりで9,600円の紫苑さんより節約できている。

 また、同じく、節約のターゲットである保険代についても、夫婦で4,000円というかなりの低さである。

 それから、注意しないといけないのは、紫苑さんの支出の内訳には、住宅費/家賃が計上されていない。番組を見ると、持家の一戸建のようなので、住居費はゼロということになっているのだろう。ただ、住宅のメンテナンス費用は必ず発生するので、長期的に見ると、月5万円で生活して行くのは厳しいだろう。

 以上の様に、紫苑さんと、ミニマリストの「れお」さん夫婦のケースを見ると、「住居費(家賃/住宅ローン等)を除けば」という想定だと、一人当たり月5万円くらいで生活することは不可能ではないということだ。

 ただ、そのためには「食費」を極限まで減らす(一人当たり月1万円程度)という技が求められるので、普通の食欲の人は真似しない方が良さそうである。

 ただ、FIRE達成者のよく言う「生活費は月10万円以内に抑えて、それ以外は全て貯蓄」というのは可能なのであろう。 

参考にしたいのは、「楽しみながら」節約をすること

 一般的な定年退職者に、紫苑さんやミニマリストの「れお」さんの様な生活をお勧めする訳では無いし、基本無理だと思う。

 ただ、参考にしたいのは、節約を「楽しんでやる」ことである。

紫苑さんも、「れお」さんも、節約を辛いと思いつつ我慢してやっているのではなく、いろいろな工夫をすることにより、支出を減らすことにやりがいを感じていることである。ある意味、ゲーム感覚である。この境地に達すると、苦も無く節約ができるのであろう。

 私は、今年の3月から、娯楽用の貯金目的で「100円貯金」を始めたところ、まだ細々と続いている。しかし、とりあえず続けているという感覚であって、楽しんだり、ゲーム感覚でやるという境地には達していない。

 今後は、少しは楽しんで続けられるように、何らかの工夫をしてみたいと思う。