老後資金捻出に向けた節約、変動費を減らすことは可能か?

1.節約の脇役である「変動費」を削減できるか? 

節約の王道は「固定費」の削減

 節約の王道は、まず「固定費」を削減することであり、

多くの節約系の本やメディアで、節約のカギは「固定費」の削減にあると説明されている。

 何故「固定費」の削減がカギかと言うと、

固定費には、家賃、車関係の出費、通信費、保険代といった、家計の支出に占める割合が高いものが多く、上手く削減できると、その金銭的インパクトが大きいからである。

 また、「固定費」は恒常的・安定的に発生するので、節約を効率的に行えるというメリットもある。

 それでは、「変動費」はどうでもいいのかと言うと、そうとも言えない。

固定費に加えて変動費も節約できると、その効果は更に大きくなるし、人によっては固定費よりも変動費に問題があるケースもあるだろう。

 そこで、今回は、変動費の節約の可能性やそのコツについて考えていきたい。 

2.変動費の削減のコツ

 それでは、変動費の節約はどうすればいいのか?

「変動費 節約」でGoogle検索をかけてみたところ、このりそな銀行のサイトがわかりやすかった。そこで、このサイトを参考に変動費の削減を考えたい。

https://www.resonabank.co.jp/kojin/column/credit/column_0015.html 

食費の削減

 変動費の代表的な項目が食費である。

食費の定義は一律的に決まったものがあるわけでは無いが、

基本的に外食費とかは除いた方がいいだろう。外食費は経常的に発生しないのであれば、交際費や娯楽費と考えるのが一般である。

 節約を長く続けるコツはストレスを貯めないことにあるので、食費の削減は慎重に考える必要がある。食事に不満が生じると、ストレスにつながりやすいからである。

 そのために、食事の中味や量に影響を与えない形で、節約を考えることがポイントのようである。

具体的には、自炊が嫌いでない人の場合は「弁当」を活用するとか、ペットボトルを毎日何本も購入しているような人は水筒(マイボトル)を活用するという方法がある。

 また、食材は同じでも、仕入れの方法を工夫する、具体的には、まとめ買いをして小分け冷凍を活用するといった方法もある。 

日用品費・被服費

 50代男性は、あまりおシャレというか、服装に構わない人が多いので、被服費はあまり節約の余地がない人も多いだろう。

 ただ、女性の場合には、被服費は見直しの余地が大いにあるかも知れない。

 被服費の節約については、事前にネットで値段を比較してから購入するとか、リユースショップや、メルカリの様なフリマアプリ経由で購入する方法がある。

 リユースショップについては、セカンドストリートという店が有り、上着やコート類はたまに掘り出し物があり、数千円程度で結構いいものが買えたりする場合もある。興味があれば、一度のぞいてみるのも悪くないだろう。

https://www.2ndstreet.jp/

 日用品・消耗品については、事前にネットで調べて安いものを買ってストックするという方法くらいしかない。

 もっとも、これは衝動的、単発で行っても効果は薄く、必要なものは予めリスト化して、足りないものを埋めていくという計画性が求められる。 

趣味。交際費、娯楽費

 このカテゴリーで最もストレスが少ない節約術は、

「無駄なサブスクサービスの見直し」だろう。動画、音楽、YouTubeのメンバーシップ、オンラインサロン、スマホの各種課金アプリ等、いろいろあるので、不要なものがあれば停止したいところである。

 趣味や娯楽は、下手に削ってストレスが貯まると元も子もないので、慎重に行う必要が無い。

迷えばやらない方がいいかも知れない。

 反対に、趣味・娯楽については、定年後に備えて、お金がかからないものを始めてみるという手もある。例えば、ブックオフでのワンコイン読書とか、B級グルメのスタンプラリーといったものはお金がかからないし、定年後の趣味に繋がる可能性がある。50代のうちに、いろいろ試しておいても損は無いだろう。

 50代サラリーマンの場合、意外と見直しの余地があるのは、「交際費」かも知れない。

というのは、会社関係の付き合いは、定年後には悲しいながらも消えてしまうそうだ。

そうであれば、何でもかんでも顔を出す必要も無く、支障が無いものは出席しないようにするという方法もある。

 3.変動費削減の意味と実行上のポイント

 上記を読まれるとお気づきだと思うが、

変動費の削減方法については、何となくセコい感じがしたり、面倒臭かったり、心理的な抵抗感を伴うものが、感覚的に多い気がする。

 やはり、最初に取り組むべきは「固定費」の削減であり、

「固定費」の削減は十分できたと思える段階に達してから、「変動費」の削減に取り組めばいいのだろう。

 その意味で、「変動費」の節約は、節約「上級者」向けと言えると思う。

 もっとも、固定費の削減に成功し、変動費を月に1万円でも削ることができれば、その効果は小さくは無いはずだ。

 ただ、実行に向けては、全体的なコツというか、留意点があると思われる。 

目標金額の設定

 変動費の削減の場合、安い食材の仕入れ、安い日用品の仕入れ、無用なサブスクの停止等、

1件当たりの効果が数百円単位であり、非効率な面は否めない。

 このため、ストレスだけが貯まらないように、予め目標金額を設定しておいて、その範囲に限定して試してみるのがいいだろう。

 具体的には、月に変動費全体で1万円の削減から始めれば十分なのではないだろうか? 

計画性

 月に1万円と目標を設定した後には、具体的にどうやるのか、計画を予め立てる必要がある。行き当たりばったりでやると、安くても過剰に消耗品を貯め込んだり、安く買い入れた食材を腐らせたりする事態に陥りかねないからである。 

家計簿の活用

変動費の節約に挑戦するような人は、当然家計簿を活用していると思われる。

変動費の節約については、目標額の設定とその計画と実行が必要になるだろうから、その進捗状況を家計簿でフォローする必要がある。

 何か月か試していて、難しそうであれば、月の目標を下げたり、軌道に乗れば増やしたりと、家計簿を上手く活用したいところである。 

FPへの相談

 食費、被服費、趣味、交際費、娯楽費等、変動費の場合は、スパッと割り切って、費用カットを実行しにくい場合がある。

 そういった場合は、無料のFP相談の機会を利用して、客観的なアドバイスをもらって、背中を押してもらう手もある。例えば、食費とか被服費のカットはストレスに繋がり易いから要注意ではあるものの、他の人と比較して突出して高ければ見直す余地はあるかも知れない。

 結局、このあたりは、主観的な「納得感」が重要なので、躊躇なく実行していくために、第三者であるFPに手伝ってもらうというのは有用だと思う。

 こうしてみると、変動費の削減は上級者向きと思えるが、固定費の削減にある程度成功すると、こちらの変動費の見直しにチャレンジしてみるのもいいだろう。

 私も機会があれば、節約に詳しいFPの話を聞きたいと思っている。