節約は定年準備段階でも、リタイア後の年金生活でも重要なスキル
50代になると、定年後に向けた老後資金の獲得には、節約が重要な役割を担う。
サラリーマンは50代になると、昇格や転職によって年収増を狙うことが難しくなるので、収入を増やすことによってではなく、支出を減らすことによって、積立投資の原資を作ることが求められるからである。
そして、フルリタイア後の年金生活になると、現役時よりも大きく年収が減るので、やはり、この段階でも、如何にストレスを溜めずに、効率的に節約するかは重要である。
ただ、私は50代の定年準備の段階であり、年金生活がどんなものなのか想像できないことも結構多い。そうした中、YouTubeで興味深い、年金生活における節約を扱った動画が見つかったので、それを基にいろいろ考えてみたい。
https://www.youtube.com/watch?v=bT5d7MDFQw4
年金生活後、年間40万円の節約に成功した夫婦のケース
この動画運営者の方は、年金が支給される65歳のタイミングで退職することを決めたそうだ。ただ、年金生活になったものの、住民税とか社会保険の負担、コロナ後のインフレ等、赤字が嵩みショックを受け、真剣に節約することを考えたという。
その結果、以下の様な方法で、年間40万円の節約に成功できた。
動画では、節約した対象に沿って、具体的に解説がなされている。
①お酒(年間合計13万円の節約)
このご夫婦は、大酒飲みということは無いが、二人ともそこそこお酒を楽しむようだ。
ビールはそれぞれ1日に2本ずつくらいのペースで飲んでいたそうだが、ビールを発泡酒に変えることにした。
それによって、ビールと発泡酒の1ケースあたりの価格差が約千円、そして、年間の消費量が30ケースなので、年間の節約効果は3万円になる。
また、このご夫婦はワインもお好きなようで、月に単価3千円位のワインを4本飲んでいたところ、月に1本ペースに変えた。これによって、月当たり3本減るので、3千円×3本×12か月で約10万8千円の節約に成功した。
お酒が好きなら、減らすのはストレスにつながるので、そこが気になったが、日常的に飲むビールは量を減らさずに、発泡酒に変えたので、それだとストレスはそれほど溜まらないのかも知れない。
ワインは週1本ペースを月1本ペースに減らしているが、そのことによる不満等は発生していないようだ。ワインは1本3千円位のものを飲んでいたということなので、ここの節約行は結構効いている。
②コンビニスイーツ(年間の節約効果1万2,480円)
このご夫婦は30代の独身の娘さんと3人暮らしで、週に3回ペースでコンビニスイーツを買っていたそうである。単価200円位のものを1人1個ずつ買っていたので、1回当たり600円位だったところ、スーパーでもっと低価格のスイーツ(例えば、わらび餅とかのパックを買って3人で分ける)に切り替えたそうだ。それによって、年間で1万2,480円位の節約効果につながった。
これも食べ物関係の節約なので、削るとストレスが溜まるリスクが生じるところ、
ビール⇒発泡酒の節約と同じ手法で、量は減らさずに単価を下げる方法で節約に成功した。
金額的には大した効果が無いようにも見えるが、スイーツを食べる頻度は落とさないことによってストレスは溜めず、節約のために筋肉質な消費生活に切り替えるという意味では、悪くないアイデアかも知れない。
③新聞を止めた(年間4万8千円の節約)
このご夫婦は、紙の新聞を長年購読していたが、電子版に切り替えたという。
しかし、リタイアしたので必要性が減るということもあり、電子版の購読もストップした。
これによって、1カ月当たり4千円×12か月で、年間4万8千円の節約につながったという。
これは、止めたところで特にストレスは感じないだろうし、それなりの節約効果はあるので、良い節約法だと思われる。
④スマホを格安SIMに切り替え(年間15.6万円の節約)
節約の王道、携帯電話代の節約である。
このご夫婦は、それまで大手キャリアの携帯を使っていたところ、一人当たり月1万円だったところ、格安SIMに切り替えると、一人当たり月3,500円になった。このため、(1万円−3,500円)×2人×12か月で、年間15万6千円の節約につながった。
案の状、節約効果は抜群で、年間の節約額はこの項目だけで、年間40万円の節約のうち、4割をこれが占めている。これは非常に効果が高い。
⑤動画サブスクの削減(年間2万2,800円の節約)
このご夫婦は映画やドラマが大好きで、いろいろな動画提供サービスに加入していた。
ただ、Hulu、Netflix、DAZN、U-NEXT、アマプラの5つもサブスクしていたのは明らかにやり過ぎで、見切れないということに気付き、アマプラともう1つだけを残して、3つのサブスクは止めることにしたそうだ。
これによって、月当たり1,900円の節約を達成することができた。
これも、携帯電話代の節約と同様、真っ先にやるべき節約であり、ストレスはほとんでかからないので、良い方法である。
1件あたりのサブスク代金は月に千円にも満たないものなので、何となく、次々と加入していたようだが、節約意識が高まると、「チリも積もれば」の発想が出てきて、解約に繋がったのだろう。
⑥本(年間3万400円の節約)
このご夫婦は読書家で、今まで月に4冊位本を買っていたそうだ。
平均的な単価は800円(新書か文庫本か?)だったので、年に10冊あたりに減らすことにして、図書館を利用することにした。
そうすると、800円×48冊―800円×10冊で、年間3万400円の節約につながった。
フルリタイアしたので、図書館に行く時間的余裕は十分できたし、月に1冊弱位は買える枠を残しているため、大きなストレスにはならなそうだ。
感想:各家庭に合ったやり方を選択すればいい
このご夫婦の節約が興味深いのは、節約の王道の方法と、独自の方法を併用していることだ。
例えば、固定費の削減ということで、携帯代金の見直し、不要なサブスクの解約というのは、簡単でストレスは大して増えずに、結構な節約効果がある。
他方、変動費の節約というのは、上級者向けの節約法であり、効果が薄い割にはストレスが溜まりがちなので、一般的にはお勧めではない。
例えば、お酒、スイーツの節約というのは、「食」という本能に関わるところなので、ここを削るとストレスが溜まり易いとされている。しかし、このご夫婦は、量は減らさずに単価を下げるという工夫をしていて、問題なさそうである。
また、これらの変動費の節約は、金銭的なインパクトは高く無いが、節約マインドを醸成するという意味では悪く無いのだろう。
あと、節約の余地があるのは、生命保険の見直し、交際費、外食費といったところであるが、これ以上節約する必要が無いのであれば、敢えて更なる節約はしなくてもいいかも知れない。