サラリーマンの資産形成のためには、ボーナスからどう貯めるかが重要
老後資金に限らず、サラリーマンが資産形成をしていく上で、ボーナスから如何に貯めることができるかが成否のカギとなる。
その理由は明らかで、年収に占める割合が高いのと、月々の給料とは別に支給されるからだ。
普段の生活費を月々の給料の範囲内でやっていけるのであれば、ボーナスの多くを貯蓄に振り向けることが可能となる。
反対に、最初からボーナスを期待していて、月々は赤字でボーナスから補填するような癖がつくと、資産形成は難しくなる。
特に、50歳からの老後資金を目的とした資産形成の場合、いずれボーナスはもらえなくなってしまう。60歳から再雇用になると、ほとんどの場合、ボーナスはもらえないので、生活費を補填するような使い方は早めに是正しておいた方がいいだろう。
ボーナスの使い方における基本的な考え方
①年収とのバランス、額面の1割を貯蓄に回せるか?
50代で老後資金を蓄積して行く上で、ボーナスからどの程度の金額を貯蓄に回せばいいのだろうか?老後資金形成だけのためなら、なるべく多くの割合を貯蓄に回すことが望ましいが、それだと楽しくないしストレスも貯まるので、一定の目安が知りたいところである。
そのためには、ボーナスの何割を考える前に、年収全体から考える必要がある。
ボーナスの年収全体に占める割合は人によって異なるので、まずは、「年収」を基準に考えるのである。
この点、FP(ファイナンシャル・プランナー)系のコンテンツをチェックすると、
「手取りの2~3割」を貯蓄に回すのが望ましいという意見が散見され、これは1つの目安になるだろう。
ただ、「手取り」ではなく「額面」を基準に考える説もあり、その場合は、「額面年収の1~2割」を貯蓄に回すのが望ましいという考え方もある。私は、大昔であるが、FP講座を受けた際に、「額面年収の2割を貯蓄に回せたら結構優秀。ただ、額面年収の1割位は頑張って貯蓄に回すことを推奨したい。」と聞いたので、私の場合は、「額面年収の2割」を目標にしている。もっとも、額面年収の2割は、ちょっと厳しいので、それまで貯蓄癖がついていない人は、何とか1割を目標に計画するのが良いだろう。
そうすると、額面年収1千万円の人は、年間で、給料とボーナスから合計100万円は貯蓄に回したいということになる。そして、ボーナスの年収に割合が占める人ほど、頑張ってボーナスから貯蓄することが求められる。
②ボーナスから、いくら貯蓄に回すかを考える前に、現状の家計の見直しを
今までそれなりに貯蓄が出来てきた人は、額面年収の2割を目標に、そうでない人は額面年収の1割を貯蓄に回せるように、ボーナスの使途を考えようということであるが、大事なことは、その前に、家計の現状を理解しておくということだ。
住宅ローンの返済事情(ボーナス払いの有無)、子供の教育費(これが結構大きい)、クルマや耐久消費財の買い替えタイミング等の、逃れられない大きな支出を考慮しておく必要がある。
資産形成は長期戦なので、無理して1年だけ頑張っても継続できないと意味はない。
そのしわ寄せが後に来て、そこで資産形成を断念してしまうと本末転倒である。
とりあえず、大きな出費が見える、今後5年間位の支出状況を考慮した上で、各年の貯蓄目標を考えるべきである。
ボーナスの貯蓄割合の例
ボーナスのうち、何割位を貯蓄すべきかについては、上述の通り、それは年収におけるボーナスの割合、各家庭の支出状況等によって異なる。
そのため、各家庭で考えればいいのだが、以下、参考までにいくつかのパターンを見ておきたい。
①ボーナスは100%貯蓄(全て月々の給料で賄う)
これは推奨するつもりは全くなく、1億円貯められる人はここまでやるという話である。
結構厳しめのことが書かれている記事であるが、これから節約と貯蓄を頑張りたいという人は参考にすればいいだろう。
https://president.jp/articles/-/53887?page=1
②ボーナスの50%を貯蓄
実は私も調べてみて驚いたのだが、アンケート等を基に調査した上での意見として、ボーナスの半分を貯蓄することを推奨するFP的な意見は結構多い。
かなりストイックな意見にも見えるが、例えば、以下のリンク先のフコク生命のコンテンツによると、ボーナスの使途の「黄金比率」として、以下を推奨している。
貯金 4割
消費(自分へのご褒美) 3割
自己投資 2割
金融資産への投資 1割
これによると、貯金と金融投資でちょうど5割となる。
また、上のリンク記事の、FPの推奨も、ほとんど似たような感じである。
貯蓄 50%
お小遣い 30%
自己投資 20%
https://manekomi.tmn-anshin.co.jp/kakei/17411816
https://47life.fukoku-life.co.jp/adult/7880/
また、上のリンク先記事のアンケートによると、ボーナスの半分以上を貯蓄したいという人が約6割もいるという。
今の若い人達は堅実になったのかも知れないが、老後資金を貯めないといけない我々50代も頑張らないといけないのかも知れない。
老後資金の形成と、ボーナスの節約
最初に必要な貯蓄額を除くと、後は自由
今まで、いろいろとボーナスの使途と貯蓄について述べてきたが、50代の老後資金形成とボーナスについて立ち返ってみよう。
老後資金の目標額は、その人の積立可能期間や月々の積立金額次第であるが、キリ良く1千万円を10年間かけて、想定運用利回りを5%とすると、月々の積立金額は約6万4千円でOKだ。
月々6万4千円が大変なら、ボーナスも原資とすれば良いが、月々5万円だとすると、1回のボーナスから10万円を貯蓄に回せばいいということになる。(月5万円×12か月+10万円×2回=年間80万円。)
副収入で月2万円も稼げれば月5万円はそれほど難しくないと思われるが、副収入が無く、節約だけで月に5万円を捻出するのはちょっと辛いかも知れない。ただ、節約だけで月3万円の積立なら何とかなる場合、1回のボーナスから約22万円を積立原資と出来ればOKである。)
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/tsumitate-simulator/
そうすると、ボーナスの何%を貯蓄するかを考えるまでもなく、とりあえず、22万円或いは10万円を最初にボーナスから取り除いてしまうと、後は自由である。
この様に考えると、10年掛けて、老後資金1千万円を目指すのは、それほど無理だと感じないのではないだろうか?もちろん、もう50代になると、将来の収入源も見据えて、ボーナスを浪費する余裕は無いのだが、いきなり生活水準を下げるのはストレスが溜まるので、とりあえず、ボーナスから10~20万円を除いて、その残りは自由に使ってOKというところから始めてみるのもいいだろう。
もっとも、役職定年でボーナス支給額が削られたり、60歳の再雇用になるとボーナスが無くなることを想定すると、徐々にボーナスに占める貯蓄割合を高めていく必要はあるだろう。
これは、ボーナスに限らず、資産形成・節約の王道だが、最初に必要な額を「最初から無かったかのように」取り除いて貯蓄に回すということが重要である。
NGなボーナスの使い方
ボーナスをどう使うべきかを考えるにあたっては、反対に、NGな使い方を避けることを意識するのもいいかも知れない。
https://39mag.benesse.ne.jp/money/content/?id=134087
「ボーナスのNG」な使い方で検索をすると、上のような意見が見つかる。
- 「生活費をボーナスで補填する」
- 「買い物をボーナスでする」
特に、50代の場合、「生活費をボーナスで補填する」という習慣は、いずれボーナスが無くなることは確実なので、早めに是正しておきたいところである。
ただ、とりあえずは、少なくとも10~20万円を貯蓄に回すということは、老後資金の形成を考えると何とかこれくらいはやっておきたいところである。