定年後の家計の改善プロセスに興味あり
定年後の家計とか節約をテーマとしたコンテンツは数多くある。
しかし、ダイナミックに、家計が赤字から黒字に転換するプロセスに着目したコンテンツはあまり見かけないので、「家計の黒字化のプロセス」は非常に興味深い。
これに関して、先日、このYouTubeの動画を発見したので紹介したい。
https://www.youtube.com/watch?v=Amtj-Btpr_4&t=48s
この定年後世帯であるご夫婦の動画は、以前に、ブログ記事で紹介したこともある。
定年後に家計を赤字から黒字化する方法は、家庭の生活スタイルや保有資産額によって様々であろうが、この動画はケース・スタディとして考えると大いに参考になる点はあると思う。
定年後に、家計が赤字に陥りやすい理由
①住民税と健康保険がすぐには減らない
定年後の初年度と2年目は、家計、月々の収支が赤字に陥りやすいという。
その理由は、この私のブログ記事でも紹介しているが、住民税と健康保険の負担が大きいことによる。
https://retirefphb.com/archives/265
どういうことかと言うと、定年を迎えると、すぐに収入、給料は無くなってしまう。
他方、住民税と健康保険は現役時の年収をベースに課金されるので、すぐには収入に応じた減り方をしてくれないからだ。
年の真ん中ぐらいで退職した場合には、住民税が完全に年金生活に適応してくれるまで、2年位かかるという。
②節約効果のタイムラグ:生活習慣は急には変えられない
それから、もう1つの理由は、生活習慣は急には変わらないということである。
定年後に月収が減ると、それに応じて支出も減らす、要は「節約」が必要となる。
節約の効果は大きいのだが、人は急に生活習慣を変えることができないので、節約効果は徐々に効いてくる。
まずは、変動費の見直しを行うと、それらは比較的すぐに効果が出る。
しかし、定年準備段階である程度、固定費の節約をする場合には、変動費にも手を付ける必要がある。ビールを発泡酒にするとか、見落としていたサブスクを解約するとか、無用な交際費を見直すとか、外食の頻度やコストの見直しをするといった対応は、一気に出来ない場合が多い。従って、節約をきっちりやれば、その分は効くのだが、完全に効果がでるまでは、やはりタイムラグがあるのである。
③重要なのは、赤字が続くと精神的ダメージを受けること
この紹介した動画のご夫婦の場合、定年後の最初の年は、月に10万円位の赤字が続いたという。それは年間100万円位の赤字であり、貯金がそのペースで減って行くのは到底容認できない。
このため、このご夫婦は定年後の1年目は、結構精神的なダメージがあったという。
せっかく、長年のサラリーマン生活にピリオドを打ち、自由な生活が出来るのに精神的なダメージがあると楽しめない。
これは本当に勿体無い話なので、家計の収支を改善すべく手を打つ必要がある。
家計の黒字化に成功できた理由
月10万円の赤字から逃れるべく、この動画のご夫婦はいくつかの対応を行い、黒字化に成功できたという。その原因は以下の通りである。
①節約効果
このご夫婦は、いろいろと頑張って節約を行い、上級者向けの節約法である「変動費」の節約にも取り組み、年間40万円の効果を享受している。
すぐには効かなかった節約であるが、徐々に完成し、家計の黒字化に貢献している。
このあたりの経緯については、こちらのブログ記事で紹介しています。
https://retirefphb.com/archives/270
②資産からの収益
このご夫婦は、株や債券等の証券投資は行っていないし、収益用不動産も保有していないようだ。しかし、個人年金に加入していて、また、外貨預金もある程度所有していたようだ。
どういうものかはよくわからないが、定年後、個人年金からのキャッシュフローが出来るようになったという。(もっとも、それを受け取ることができるのは6年間というので、効果は限時的であるそうだが。)
また、外貨預金も始めたようで、そこからの金利収入も家計の黒字化の助けになっているようだ。
具体的な金額には言及していないが、それぞれ、数万~5万円くらいの受取りが出来ているのかも知れない。
やはり、定年後は給与収入が無くなるので、資産収益は非常にありがたい。
資産形成はすぐにはできないので、やはり、きっちりとした定年準備が重要であると感じられた。
③副業収入
これは、このご夫婦の特徴であるのだが、運営しているYouTubeから、月に10~15万円位の収益があるという。2025年6月時点でチャンネル登録者数は2.5万人と驚くほど多くは無いので、収益性の高いチャンネルと言えるだろう。
もちろん、YouTubeとか、ブログ、SNSを収益化するのはかなりのスキルと時間を要する。
このご夫婦も収益化まで2年くらい掛かったと言っている。
また、月に10万円程度であれば、アルバイト的な労働でも達成可能である。
実際、この奥様はバイトにも申し込んだりしたのだが、結構落とされたという。
人手不足というが、それは人を選んでいるからであり、60才以上の高齢者が就ける仕事はアルバイトでもかなり制限されるという悲しい話である。
また、ライティングとか動画編集という、内職系の仕事(クラウドワーク?)も検討されたそうだが、あまりにも実質時給・費用対効果が悪いのでやらないと判断されている。
高齢者でも簡単に見つかるのは、警備、清掃、介護というハード目な仕事であり、副業収入を得るには、それなりの準備や覚悟が必要ということである。
もっとも、月に10万円だと楽では無いが、月に2~3万円なら話は別だろう。
やはり必要であれば、月数万円でも労働収入を得るという方法を検討するのはアリだろう。
まとめ:心の平穏のために、定年後の家計の黒字化は重要
結局、このご夫婦は、定年直後の月10万円の赤字を、節約、資産収入、副業によって黒字化に成功された。非常にオーソドックスは方法であり、参考になる点は多いと思う。
ここで重要なのは、定年後の月々の収支は、「心の平穏」に大きく影響するということである。このご夫婦が言及されているように、黒字化すると、それまでの大幅赤字の精神的ストレスは消え、心の余裕ができるものである。これは、充実した定年後を生きる上で、非常に大切なことである。
「Die With Zero」というのが流行ったが、いつ死ぬかはわからないので、貯金が徐々に減って行って、それが無くなりそうになると、非常に不安だろう。
ちょうどタイミングよく、すっからかんになるタイミングで死ぬということは難しいので、充実した定年後の為にも、上手く家計をコントロールして、若干でもいいので黒字化を目指したいところである。